教職大学院修了者との協働関係の構築-初任者研修テーマの追求における協働と支援-
(2018年度)
プロジェクトの名称 | 教職大学院修了者との協働関係の構築 -初任者研修テーマの追求における協働と支援- |
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プロジェクトの概要 | 本プロジェクトは,本教職大学院が,修了者への継続した協働体制を構築するための手がかりを得ることを目的として実施した。このため,対象となる初任者を,第1期修了者の中から,出雲市立神戸川小学校尾﨑亮太教諭として,プロジェクト組織に含めた。 尾﨑教諭の初任者研修テーマは「理科授業の充実」であり,具体的な協働や支援は,小学校理科授業に関する授業づくりであった。このため,プロジェクト組織を電磁気学や地質学をはじめとした科学,電気電子・情報等の技術や理科教育方法,教育の情報化等に専門性を持つメンバーで構成した。 これらのメンバーで,以下の1~7の実施を試みた。その成否を通じて,表1にある検討項目への示唆を得た。 1. 大学院教員と協働した授業開発 2. 大学院教員と協働した授業に必要な教材の作成と開発 3. 大学院教員の授業参観と授業検討会 4. 大学院教員と初任者研修指導教員や管理職等との意見交換 5. 先行事例の情報収集とその活用 6. 大学院教員と被支援者との共同研究 表1 明らかにすべき検討項目
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プロジェクトの実施状況 | 本欄には,プロジェクトの概要に示した明らかにしたい課題(上記の表1)に沿って,得られた結果を報告する。 1.授業づくりにどこまで関わるか 資料提供(附属小の資源,研究会の記録等)ができた。 初任者には,法定研修である初任者研修が義務づけられている。研修には様々なプログラムが用意されているが,その一つとして,研究授業が課されていた。そこで,本大学院が有する人的物的ネットワークを活用して,本人の求めに対応した,様々な資料提供を行った。一例として,過去に,島根大学教育学部附属小学校が実施した研究授業の指導案,プロジェクトのメンバーが有する専門分野に関する関係資料,全国から収集した関係教科単元の資料などである。対象者は,それらの資料を参考として研究授業を計画し,実施した。 2.初任者研修制度との協働と棲み分け 1.に述べた研究授業に参加するか,あるいは参加できるかの検討を重ねたが,初任者研修と,本教職大学院の支援は,基本的に棲み分けを図るべきとの結論に及んだ。 しかしながら,間接的な支援として,1.に述べたことが協働として初任者を育てる活動として挙げられる。つまり,研究授業自体は,初任者研修であるが,資料提供という形で,その支援を行うことが可能であることが明らかとなった。 3.共同研究の在り方 初任者教員として業務を習得する時期であり,多忙を極める初任者には,研究を推進する物理的・精神的ゆとりがなく,教職大学院修了後の学部新卒学生からの教職大学院修了者との共同研究は難しい現状が明らかとなった。 4.長期的・継続的な支援の可能性 本プロジェクトでは,長期的・継続的な支援の可能性について,手応えを得た。これは,本教職大学院教員と修了生が,交流を続けることで,職務上の意見交換ができ,交流の中から,支援などの具体的な内容が実行される可能性ということである。 さらに,現在本教職大学院が計画中の,大学院教員と同窓生を中心とした会員で構成する教育関係者組織が軌道に乗れば,実現の可能性が高い。 |
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研究組織 |
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本プロジェクトにより期待される効果 (成果の公表方法を含む) |
本教職大学院が,修了者に対する授業づくりや共同研究等修了者との協働や支援の在り方に関する示唆を得ることができた。具体的な①修了者の授業づくりにどこまで関わるか,②学校等と協議しながら初任者研修制度との協働と棲み分けを如何に図るか,③学部教員と修了者との共同研究の可能性はどの程度あるのか,④初任時だけでなくキャリアステージに応じた長期的な支援をどうすべきかなどの事項に対しての示唆を得ることができた。 これらのことが明らかにできた結果,教職大学院が各修了者に対する継続的な協働や支援の方向性がみえてきた。修了後の協働や支援は,教員としての資質や専門性の向上につながり,修了者,教職大学院,県教育委員会三者のメリットとなる。 以下に,成果の公表方法を示す。 教職大学院専任教員向けFD研修会等での報告 本教職大学院が主催する学校教育学会(仮称)への報告 島根県教育委員会,出雲市教育委員会等への周知 |