山陰地域の教員資質の向上に関する指標および教員研修計画策定プロジェクト
( 2017年度)
プロジェクトの名称 | 山陰地域の教員資質の向上に関する指標および教員研修計画策定プロジェクト | |||||||||||||||||||||||||||
プロジェクトの概要 | 教育公務員特例法の改正により,都道府県の教育委員会は,大学との協力のもと,教員等の資質向上に関する指標を策定するとともに,その指標に基づいた体系的な教員研修を実施することとなった。これをふまえて,本プロジェクトでは山陰教師教育コンソーシアム内におかれた「教師力育成・評価プロジェクト」を中心に,島根・鳥取両県と島根大学教育学部の協働のもとに教員育成指標を定めるとともに,今後の教員研修のありかたを研究することを目的とする。 短期的活動と中・長期的視野による活動の二面から本プロジェクトを実施する。短期的活動としては,現在すでに始まっている島根・鳥取両県との協議をふまえた育成指標初版を作成する。その際には,本学部の「教師力」の到達目標を指標の第一段階(採用時の資質)と整合させることに留意する。 中・長期的視野による活動としては,今後数年かけて行われる指標の改善作業に向けて,教員育成指標のあり方について学術的観点から研究をおこなう。諸外国の動向とともに山陰地域の教育課題をふまえ,島根・鳥取にふさわしい指標がどのようなものであるか,両県に提言できるようにするための準備をすすめる。またそこで得られた成果を,本学部の「教師力」の到達目標や,教職大学院の「教師力ナビ」の到達目標の改善という形で反映させる。 |
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プロジェクトの実施状況 | 【育成指標初版作成関連】 ・育成指標作成のためのワーキング会議を島根県教委と3回,鳥取県教委と3回,大学と両県合同の会議を1回開催した。また,鳥取市教員研修準備会に参加した。両県教委とのワーキングでは,採用時に求められる資質・能力と本学部の「プロファイルシート・システム」に記載されている学修到達目標の擦り合わせを協議した。具体的には,本学部の到達目標の一部を採用時の資質・能力として記載するとともに,両県が求める資質・能力をプロファイルシートに取り入れることにより,本学部における教員養成と採用後の研修を共通の指標に基づいて改善できる仕組みを作成した。また一連の取り組みについて,日本教育大学協会研究集会(10月14日,於刈谷市総合文化センター)パネルディスカッションにおいて報告した。 【育成指標研究開発関連】 ・ミシガン州立大学とその近隣の学校で,教師教育質保証に関わる資料収集を行った。ミシガン州立大学では,教育学部と他学部との有機的連携の在り方に焦点を当てたインタビュー調査を行い,日本人学校補習校を含む近隣の小中学校では,ミシガン州の教師教育プログラムが,日本とミシガン州のカリキュラムに沿った教育実践をどのように支えているのかを調査した。 ・マレーシアでは,プトラジャヤ市の高校Sekolah Sultan Alam Shah Putrajayaを訪問し,マレーシアにおける教員養成および教員研修について情報収集を行った。マレーシアには,基本的に教員免許制度はなく,教育職につくことに必要な単位をそろえること(例.専門の学士+教職プログラムの単位等)により,教職に応募できる資格が得られるとのことである。教職についたのちも研修プログラムが充実しており,毎年7日間の研修に参加することが義務付けられている。教員の職場環境が恵まれており,宗教等さまざまなバックグラウンドの教員がいる中で,みなそれぞれいきいきと仕事をしているような印象であった。 |
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研究組織 |
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本プロジェクトにより期待される効果 (成果の公表方法を含む) |
【期待される効果】 山陰両県教委と養成・採用・研修のビジョンを共有することにより,採用後に求められる資質・能力を見通した教員養成が可能となり,教員就職率および山陰地域における教員占有率が向上することが期待される。 【成果の公表方法】 ・本プロジェクトが原案作成に携わった育成指標が,島根・鳥取両県教委のもとに設置された「協議会」において承認され,両県下の学校に配付されている。 ・学士課程の到達目標を育成指標と連動させたプロファイルシートシステムの「目標参照シート」改訂版を作成し,29年度入学生と30年度入学生に配付した。 |