【環境寺子屋】学部と大学院が協働した「ものづくり」による子ども支援プロジェクト

( 2016年度)

プロジェクトの名称 【環境寺子屋】学部と大学院が協働した
「ものづくり」による子ども支援プロジェクト>
プロジェクトの概要  本プロジェクトの期間は1年間とし,活動内容を大きく次の3つに分ける。
①支援体制確立期,②中学生指導期,③大会運営期
まず,①支援体制確立期では,大学教員が,ロボットづくりの基本から指導したり,外部から指導者を招聘し指導法の講習を行ったりするなどして,ロボット製作に関する高い指導力を身につけさせる。活動のまとめとして,学内ロボコンを開催し,学生が目標を持ち,楽しくスキルを高めるよう配慮する。また,大学院生が,計画的に中学生の創造性を高めるため,発想法等の技法を学び課題解決のための課題を考案するなど,中学生を指導するための綿密な指導計画を立案する。
 次に,②中学生指導期では,学生が身につけたスキルを生徒に教えすぎることなく,共感や励ましの中で中学生の達成感が得られることを目的とした指導をさせる。加えて,中学生に対する思考法や発想法等を提供し,中学生に自力で課題解決をさせ,創造性の育成にあたる。
 最後に,③大会運営期では,学生が,現場の教師と一体になって,行事をやり遂げる経験をさせ,教職志向を高める。以上①~③の活動について,製作環境整備や外部講師の招聘,学内大会の開催,現場の先生との交流などを行い,プロジェクトの質を高め,学生が満足感を持ってやり遂げ,自らの実践的指導力(教師力)向上を実感し,教職志向性が高められるよう再構築を図る。
すでに,本プロジェクトメンバーを募集し,現在9名以上の学部学生と3名の大学院生がメンバーとなっている。併せて,附属中学校の承諾も得た。
プロジェクトの
実施状況

•H28.4~5月:
1000時間体験学修での島根大学教育学部環境寺子屋ロボコンプロジェクト参加学生の募集

•H28.4~8月:
学生のスキル向上のためのロボット製作

•H28.8月:
県中学生ロボコン教室の運営(共催)とその支援(学生6名,大学院生3名参加)

•H28.8~11月:
附属中学校での,ロボット製作支援

•H28.11月:
中学生アイデアロボットコンテスト島根県大会へのスタッフ派遣(学生スタッフ7名,審査委員長及び審査委員)

•H28.12月:
本プロジェクトで支援した中学生4チームが中学生アイデアロボットコンテスト中・四国大会へ出場

•H29.1月:
中学生創造アイデアロボットコンテスト全国大会参観

 【環境寺子屋】
 学部と大学院が協働した「ものづくり」による子ども支援プロジェクトとして実施した。その結果,教職大学院から3名の学生が中学生ロボコンに関わり,学部と大学院の協働体制に様々な示唆を得た。
 年を追うごとに,支援した中学生のレベルアップが図られ,本年度は県予選を勝ち抜き,中・四国ロボコン大会へ4チームが出場した。

研究組織
所属・職 氏名 専門分野
環境寺子屋
環境寺子屋室員・大学院教育学研究科
教育実践開発専攻教授

○橋爪 一治

技術科教育方法学

附属中学校教頭 後藤康太郎 学校経営・技術科教育学
環境寺子屋室員・自然環境教育講座講師 塚田 真也 理科教育内容学
環境寺子屋室員・人間生活環境講座教授 高橋 哲也 家庭科教育内容学
環境寺子屋室長・大学院教育学研究科
教育実践開発専攻教授
松本 一郎 理科教育方法学
本プロジェクトにより期待される効果
(成果の公表方法を含む)
 本プロジェクトは,以下の具体的な効果が得られた。
①学部学生と教職大学院生の協働によるプロジェクトの試行となった。
②これまで,自然科学の分野に直接触れる機会のなかった学生が,自らの手でロボットをつくりあげる体験を通して,科学技術や環境教育に関する知識・技能を実践的に習得させることができた。
③学生が主体となって中学生を指導することにより,教育的実践力が向上した。また,コミュニケーション力などの教師の資質向上の場となった。
④学生自身の行動が,製作物という目に見える結果として表れることで,自分の行動に対する自覚と責任を高めることができた。
⑤課題解決型のものづくりを提供し,中学生の創造性を育んだ。
⑥学生が,中学生との触れ合いや,教えることの喜びを味わう実体験,現場の教師と協力した行事運営等で,自己有用感を実感しつつ教職志向性が向上した。
以上の点から,体験活動を通した自然科学に強い教員の養成を中心に据えた,質の高い教員育成プログラムが実現できた。