教員を目指す学生を応援するための時間&スペース「水曜倶楽部」

( 2015年度)

プロジェクトの名称

教員を目指す学生を応援するための時間&スペース「水曜倶楽部」 

プロジェクトの概要 ◆日時:原則,水曜日午後
◆場所:教師教育研究センター 学生ワークステーション 
・教職に関する不安や悩みの相談対応
・教職仲間と担当講師との勉強会・懇談会の実施
 主に他学部生のサポートが目的ではあるが,教育学部の学生の参加も可能(他学部生の発奮効果につながる)
・教員採用試験情報や資料等の提供
 参考書や教員採用試験対策本,就職支援室作成「テキストブック」閲覧
・情報紙「水曜倶楽部通信」の発行
・学生の希望に応じた勉強会や模擬授業等の開催
・教育学部主催の「未来教師塾」や「教員採用試験対策セミナー」等の教採対策セミナーの紹介や,進学希望者に対する教職大学院等の仲介
・教員又は教員を目指す卒業生(主に他学部)とのネットワーク作り
プロジェクトの
実施状況

(1)参加者

 開設当時の平成26年度と比べると,27年度は全体的に増加している。(図1)学部別では,昨年多かった法文学部の学生が引き続き友人を伴って参加したこともあり一番多く,総合理工学部,生物資源科学部と続いている。積極的に参加を依頼した教育学部生も増加,水曜倶楽部開設当時,大学院進学で教員採用試験を受験しなかった大学院生も試験を直前に控えたこともあり,積極的に参加している姿が見られた。

 

(2) 主な活動内容

 平成27年度の主な活動状況

件 名 概 要 回数
「今年の公立学校の教員採用試験に合格した4年生に話を聞いてみよう」 合格者体験談 3
都道府県シリーズ 「〇〇県出身者集合!同じ教員採用試験を受ける仲間とお話ししよう」 同じ出身県で仲間作りと情報交換(広島県・岡山県・兵庫県・和歌山県・愛知県・九州) 6
「卒業生で教員採用試験に合格された先輩とお話ししてみよう」 卒業生(教採合格者)と懇談 1
教職相談(個人相談) 教職に関する悩みや教員採用試験対策等の相談 8
「水曜倶楽部」「自分を見つめる」オリジナルワークシートを活用した自己分析 友人とワークシートを活用し自己分析 6
模擬授業 下級生も交えて実施 6
その他企画「『青年海外協力隊でアフリカで理科を教えることになりました』」という4年生の話を聞いてみよう!」等 積極的に活動している学生を紹介する企画やその他の取組み 5
合 計   35

<懇談会の実施>
 前年度好評だった教員採用試験に合格した4年生の話を聞く懇談会の他,平成27年度の初企画として,同じ出身県の学生や教員を交えた懇談会を実施し,仲間意識の醸成や情報の提供,モチベーションアップの機会を増やした。平成27年度は教育学部の学生も積極的に勧誘し,同じ教職を目指す仲間として交流する機会を設けた。懇談会の開催時間は1時間程度としているが,会話が弾み2.3時間延長になることが多かった。終了後,学生同士連絡先を交換して「水曜倶楽部」以外の場でも交流を持つ姿が見られた。


懇談会(和歌山県出身者)


<教職相談(個人相談)>
 専門科目との両立や個々の悩みを持つ学生に対し,教職や教員採用試験に対する不安な気持ちを受け止めるとともに,教育学部の教員採用試験対策(島根大学未来教師塾等)の紹介や勉強方法のアドバイス,モチベーションアップを目的とした教職相談を実施した。


<「水曜倶楽部」「自分を見つめる」ワークシートを活用した自己分析>
 「水曜倶楽部」オリジナルの「自分を見つめる」ワークシートを活用して,友人同士や担当講師,時には実務家教員等を交えて行う自己分析を実施した。自己分析は教員採用試験の際の自己アピールシートや面接対策のための準備段階になるものであり,「自分を見つめる」ことを楽しみながらできるように,質問内容等に創意工夫をこらした。


<模擬授業の実施>
 学生の要望があったため,模擬授業を実施した。4年生や大学院2年生が模擬授業を行い,その他の学生や教員も生徒役として参加した。終了後は参加した実務家教員が中心となって複数名の教員がアドバイスを行った。


<積極的に活動している学生を紹介する企画等>
 学生が広い視野を持つとともに,積極的に各種活動に自分から参加していく姿勢を作るため,「『青年海外協力隊でアフリカで理科を教えることになりました!』という4年生の話を聞いてみよう」など,昨年に引き続き該当学生がいたため「元気な人から元気をもらう」企画を1回実施した。また,教職カフェとして,情報交換会や教育実習の振り返りの会を実施,実務家教員をはじめ,他学部の教員の飛び入り参加もあり,学生同士だけでなく教員との交流も深めることができた。


<自己アピールシートや小論文の添削指導>
 学生から自己アピールシートや小論文の添削指導の要望があったため,ひとりの学生につき教師教育研究センターの3,4名の教員が教員採用試験直前まで複数回指導を行った。


(3)その他のサポート
<教員採用試験や教職に関する情報提供>
 島根大学未来教師塾や教員採用対策セミナー等の紹介,就職支援室や各学部教員から情報を入手し,掲示や「水曜倶楽部」参加者を対象とした学生へのメール連絡を行った。また,他学部生は学校体験活動を経験できる機会が少ないため,高校生や中学生と交流する機会を紹介し,教育実習を前に学校現場で貴重な体験活動を行う機会を増やすことに努めた。


<「水曜倶楽部」通信の発行>
 「水曜倶楽部」の活動等を紹介する「水曜倶楽部通信」を2回発行し,学内掲示板に掲示,学生や関係教員に配付した。内容は特別企画の実施結果をはじめ,「ミニ掲示板」等で教職関係の事務連絡を,編集後記等で,教員採用試験をめぐるエピソード等を掲載した。

  

水曜倶楽部通信No.4


<学生ワークステーションの整備>
 教員採用試験対策の参考書や教職全般,介護等体験等の図書を購入し,合格した学生からの寄贈された参考書を整備し自由に閲覧できるよう配置した。平成27年度からは試験の情報を都道府県別に集めたファイルを作成,受験者からデータを収集している。


<卒業生とのネットワークづくり>
 卒業生との情報交換のため,教員採用試験合格者には,機会があれば「水曜倶楽部」への参加(新人教員の奮闘話等を後輩に語ってもらう)や後輩への応援メッセージ等の提供を,常勤講師・非常勤講師として採用される学生には,今後の教員採用試験の合格状況の連絡等について随時協力を依頼している。平成27年度は「水曜倶楽部」に参加していた学生から,卒業後教員採用試験に合格した旨連絡があり,「水曜倶楽部」で後輩に勉強方法を教示してもらうなど,つながりの輪が広がった。

研究組織
所属・職 氏名 専門分野
教師教育研究センター
センター長 教授
 伊藤 豊彦 スポーツ心理学
教授  〇権藤 誠剛 教育方法学
准教授  粟野 道夫 教育行政,教員研修
講師  塩津 英樹 教育哲学・教育思想史
特任講師  森本 大資 福祉情報工学
特任講師  永安麻衣子 社会教育
特任講師  山根 伸子 教職実践
教職大学院設置準備室
特任教授
三島 修治 教師教育,特別支援教育
本プロジェクトにより期待される効果
(成果の公表方法を含む)

「水曜倶楽部」の成果
 教員採用試験の結果については,前年と比較すると,教育学部を除いた他学部生の4年生の合格人数は微増であり大きな変化ではなかった。しかし,合格した学生のほとんどが「水曜倶楽部」の参加者であったことが,特徴として挙げられる。(図2参照)

  

 

 「水曜倶楽部」に参加していた平成27年度の4年生では,もともと意識が高く独力でも教員採用試験に合格できると思われる資質能力や積極性を十分に持った学生数名が「水曜倶楽部」に参加し,その学生に影響された教職志望の学生が徐々に増え共に行動して行く様子を見ることができた。さらに,一人ひとりの学生の悩みに対し,仲間や教員が細かくアドバイスをすることができたため,教員採用試験等に対する不安感がある程度払拭されたと思われる。
 「水曜倶楽部」参加学生は,こうした学生同士の「ヨコ」の繋がりのほか,実務家教員を中心とする当センター教員による模擬授業の指導,面接指導,論文指導等の取組みを通じて,教員との「タテ」の繋がりを持つことができた。「水曜倶楽部」でこうした教員からの指導を直接受けることで,面接時の効果的な対策をとることができ,同時に知らず知らずのうちに教員のような世代が異なる人間とのコミュニケーションを抵抗感なくとることができるようになっていった。「タテ」の繋がりは,このような有形無形の効果を生んだものと思われる。
 成果は教育学部HP上及び「教育臨床総合研究15 2016研究」で公表する。

資料