高大連携による家庭科教員養成プログラムの構築

(2015年度)

プロジェクトの名称

高大連携による家庭科教員養成プログラムの構築

プロジェクトの概要
 本プロジェクトは、下記の3つのステップから成り立っている。
まず、推薦入学Ⅰにより入学が決まった学生を対象に、独自の「入学前教育プログラム」を行う。
 1つは、『教員採用試験(一般教養)』のテキストを購入させ、入学までに解かせることにより、一般教養力を養う。
 2つ目は、家庭科の衣・食・住・家庭科教育の4分野の課題図書を読ませレポートを作成させ、入学後には、そのレポートを元に『レポート発表会』を行う。
入学後には一般教養に関しては「補完教育」を行う。
 本プロジェクトでは、「補完教育」は単なる学力水準を高めるためだけでなく、教員採用試験をも見据えた教育と位置づけ、1~4年生全員を対象として行う。実施内容としては、教員採用試験(一般教養)のテキストや教員採用試験(一般教養)の過去問題を使用したテスト形式を採用する。
 一方で、専門科目の知識をつけるための活動を行う。模擬授業や教育実習参観・附属の研究会の公開授業等にはできる限り参加させるとともに、所属教員のそれぞれの専門分野の1000時間体験学修を開講しそれを受講させることにより、高度な専門知識をつけることを目指す。これらは必要に応じて写真撮影・ビデオ撮影を行い、データとしてHDDに蓄積する。これらの活動を通して学生の学習状況を把握すると同時に、プロファイルシートを利用して、学生全体及び個々の学生の弱点を分析し、1000時間体験学修を利用し専門知識の弱点部分を強化するための独自のプログラムを構築する。
 なお、学生の自学・自習には講座内の実験室・実習室をできる限り解放し、自主的学習を促すとともに、同級生同士の学び合いの体制(ピアサポート体制)を築くとともに、上級生が下級生をメンター的立場で学習サポートを行う体制(メンター体制)を充実させる。
補完教育の成績及びプロファイルシートのデータを分析することにより、本プロジェクトの効果を検証する。また、HDDにデータとして蓄積した写真・ビデオや指導案等は、教材への活用の資料とする。
プロジェクトの
実施状況
 本プロジェクトの実施状況は、下記の通りである。
① 推薦入学Ⅰによる入学生を対象に、独自の「入学前教育プログラム」を行った。
 1つは、入学前に一般教養力だめし問題を解かせ、各学生の一般教養力を評価・把握した。同時に、『教員採用試験(一般教養)』のテキストを購入させ、入学までに解かせることにより一般教養力を養わせた。これらは、入学後に行う補完教育(下記②)の指導に活用した。
 2つ目は、家庭科の衣・食・住・家庭科教育の4分野の課題図書を読ませレポートを作成させた。入学後には、そのレポートを元に4分野の内容をまとめた要旨集を作成した上で、『レポート発表会』を行った。要旨の作成や発表に際しては、学生1人1人の担当教員を決め、書き方・内容のまとめ方・適切な図表の使い方等を約2か月かけてじっくり指導した。それにより、学生と教員の間によりよい関係を作り出すとともに、専門教育への理解を深め、入学後の学習への意欲に繋がったと考えられる。
② 一般教養に関しては「補完教育」を行った。
 本プロジェクトでは、「補完教育」は単なる学力水準を高めるためだけでなく、教員採用試験をも見据えた教育と位置づけ、1~4年生全員を対象として行った。実施内容としては、教員採用試験(一般教養)のテキストや教員採用試験(一般教養)の過去問題を使用したテスト形式を採用する。テストは、月1回のペースで月ごとに指定した範囲で行った。受講後の成績についてはテストの都度個別に学生に伝えて指導し、勉強に対するモチベーションを持たせた。また、後期には補完教育の時間を利用し、教員採用試験を受験・合格した4年生の教員採用試験の様子や試験に対する心構え・勉強方法等の体験談を聞かせる機会を設け、3年生以下の学生の家庭科教員を目指すことへの自覚と理解を促した。
 一方で、専門科目の知識をつけるための活動を行った。模擬授業や教育実習参観・附属の研究会の公開授業等にはできる限り参加させた。それらの授業はすべてビデオ撮影し、HDDに保存し、データとして蓄積した。また、所属教員のそれぞれの専門分野の1000時間体験学修を開講し、それを受講させることにより、高度な専門知識を身に着けさせることを行った。これらの体験学修も、必要に応じて写真撮影・ビデオ撮影を行い、データとしてHDDに蓄積した。以上の活動を通して学生の学習状況を把握すると同時に、プロファイルシートを利用して、学生全体及び個々の学生の弱点を分析し、1000時間体験学修を利用し専門知識の弱点部分を強化するためそれぞれの分野のプログラムの構築を図った。
 なお、学生の自学・自習には講座内の実験室・実習室をできる限り解放し、自主的学習を促した。これにより、同級生同士の学び合い(ピアサポート体制)がスムーズに行われ、教育実習や教員採用試験における学び合いにつながった。さらに、上級生と下級生が自然と顔を合わせる機会が増えることにより両者の間の繋がりが深まり、上級生が下級生の学習サポートを行うメンター体制が整ったと考えられる。
③ 最後に、補完教育の成績については、年度末に、1年間に行ったすべてのテストの成績をレーダーチャート化し、個々の学生の成績を把握・追跡し、「補完教育」の効果を検証した。加えて、プロファイルシートのデータを分析することにより、本プロジェクトの効果を検証した。また、HDDにデータとして蓄積した写真やビデオは、学生が教材への活用の資料とした。さらに、授業や教育実習時に使用した教材・指導案だけでなく、参考にした指導案等も収集・整理し、PDF化・ビデオ化し、HDDに保存、学生の学びに活用した。
研究組織
所属・職 氏名 専門分野
人間生活環境教育講座
(家政教育分野) 教授
○正岡 さち 住居学
人間生活環境教育講座
(家政教育分野) 教授
高橋 哲也 被服学
人間生活環境教育講座
(家政教育分野) 准教授
鶴永 陽子 食物学
特任教授 多々納道子 家庭科教育学
附属中学校 家庭科教諭 青木 佳美  
附属小学校 家庭科教諭 竹吉 昭人  
本プロジェクトにより期待される効果
(成果の公表方法を含む)
 本プロジェクトの実施によって、学生の学力水準をあげるとともに、高度な専門知識を獲得することにより、実戦的な指導力も高まったものと考えられる。また、本プロジェクトを通して学生同士の学び合い体制も確立できたと考えられ、山陰地域における唯一の家庭科教員養成機関という特色をより強く打ち出せたと考えられる。  以下に、家庭科教員を目指す学生に対する主な効果を示す。
(1) 家庭科教員としてのスキルアップ。
(2) 家庭科教員を目指すことへの自覚と理解。
(3) 教員採用試験の得点力アップ。
(4) 高校と大学の円滑な接続と大学教育への理解の深まり。
(5) 学生間の学びあいによる主体的学びの実現。
(6) 学生の専門知識の高度化と授業実践力の向上。
 成果としては、レポート発表会の要旨集と、指導案及び上級生から下級生へのアドバイスをまとめた報告書を作成した。なお補完教育については、学生の成績集計・分析を行ったが、個人の成績に関係するため公表は行なわないこととした。