「小学校外国語活動」に取り組む―地域の課題把握調査と、学生・教員との合同研修―

( 2012年度)

プロジェクトの名称 「小学校外国語活動」に取り組む
―地域の課題把握調査と、学生・教員との合同研修―
プロジェクトの概要

 1.「小学校外国語活動の会」研修会の定期開催

 

 2011年度より必修化された「小学校外国語活動」に関して、外国語教育は指導対象ではなかった現場の教員への支援と、これから教員を目指す教育学部生・院生の学びの場として、島根県教育委員会・県教育センター・教育事務所の主事と連携し、2010年7月に自主勉強会「小学校外国語活動の会」を立ち上げ、これまで継続的に研修会を開催してきた。文部科学省の直山調査官にも直接ご講演頂き、隠岐や益田、また県外からも熱心な教員の参加があり毎回50-60名の参加がある。
 この「小学校外国語活動の会」は、小中教員による実践発表や指導法の演習を通し、参加者(小中高大の教員、地域の外国語活動指導員、教育学部学生・院生)が学習指導要領の趣旨に沿った具体的な活動を学び、さらに参加者同士の意見交換を通して、小学校段階にふさわしい指導の在り方について学び合える場を創ることを目的としている。これは大学の中期目標にある「社会との連携」や「社会貢献」の一翼を担うとともに、教育学部生・院生にも、現職教員の実践から学び意見交換を通し、中期目標にある「高度な教育的実践力」を得る貴重な機会となる。さらに「1000時間体験活動」に登録することにより、教育的研修会の企画・運営等を学ぶ機会ともなる。またこれまでの研修会で現職教員から、参加している大学生の意欲や新鮮なアイデア等から学ぶものがあるという声もあり、大学と教育現場の創造的な協働学習の場の創出であるとも考えられる。

 

2.小学校教員に必要な教室英語CDの作成

 

 英語を専門としない小学校教員が必要としている、授業に使用する教室英語の音声CD作成については、上記の研修会を通して、小学校教員が特に必要としている教室英語を集約し、大学の教員・県教委の指導主事・附属学校のALT等の協力のもと、英語の吹き込みを行い音声CDを制作する。制作したCDは、県下の全小学校に配布する。

 

3.小学校外国語活動に関するアンケート調査

 

 小学校外国語活動については、昨今さまざまな研究調査がなされているが、地域の現状を把握し、地域に即した取り組みも必須である。従って県下の小中学校の担当教員を対象とした、外国語活動に関する現状と課題を把握する為のアンケート調査は急務であると考えられる。

プロジェクトの
実施状況

1.「小学校外国語活動の会」研修会の定期開催

  

 県教委・教育センター・教育事務所の主事と連携し、今年度は6月・8月・10月・2月に研修会を実施した。8月には、文部科学省より直山調査官にご来松頂き外国語活動についての講演を頂いた。学生を含め参加者は約60名であった。また3月には、念願の西部地区における第一回研修会を開催することが出来た。
各研修会のプログラムは下記の通りである。

 

○「小学校外国語活動の会」平成24年度第1回研修会
  日時:平成24年6月23日(土)13:00~16:00
  場所:島根大学教育学部 35番教室

 

・基調提案 
 「新共通教材“Hi, friends !”の活用の実際」 
 講師:渡部 正嗣(島根県教育庁義務教育課)


・提案発表 
 「地域素材を活かした外国語活動」
  提案発表者:坂根 大雅(益田市立鎌手小学校)


・協議 
 「新共通教材“Hi, friends !1”Lesson 4 の指導の実際」

 

○「小学校外国語活動の会」平成24年度第2回研修会
  日時:平成24年8月19日(日)10:00~16:30
  場所:島根大学教育学部 35番教室


・講演「新共通教材“Hi, friends!”を活用した
 外国語活動の指導の実際」 
 講師:直山 木綿子
 (文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)


・提案発表 
 「子どもたちが喜ぶ外国語活動のアクティビティ例」


・協議 
 「新共通教材“Hi, friends!”Lesson 5 の指導の実際」
“Hi, friends!”Lesson 5の具体的な指導の進め方について
 参加者同士で知恵を出し合い,授業を創り・発表


・指導助言・総括
 指導助言者:直山 木綿子
 (文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)

 

○「小学校外国語活動の会」平成24年度第3回研修会
  日時:平成24年10月18日(木)14:00~16:30
  場所:奥出雲町立八川小学校

 

・公開授業 (学年 第5学年) 

  ・指導者 T1  教諭 西村 沙耶香

       T2  ALT  イアン・ハウデン
        (奥出雲町教育委員会 外国語指導助手)

  ・単元名 Hi, friends ! 1,
         Lesson 5 “What do you like ?”


・研究協議 
  ・コーディネーター 大谷 みどり
              (島根大学教育学部 准教授)

 

○「小学校外国語活動の会」平成24年度第4回研修会
  日時:平成25年2月17日(日)13:00~16:30
  場所:島根大学教育学部 212番教室


・報告「平成24年度 全国小学校英語活動実践研究会報告」
       渡部 正嗣 (島根県教育庁義務教育課)


・提案発表 
 「進んでコミュニケーションを図る子どもを育てるために
      ~他教科・領域と関連づけた単元構成~」
     提案発表者:白枝 こずえ(出雲市立朝山小学校)


 「『外国語に親しみ、積極的にコミュニケーションを

   図ることができる子』をめざして」       
     提案発表者:生田 久枝 (米子市立崎津小学校)


・協議 テーマ「新共通教材“Hi, friends!”の活用法と
         来年度に向けて」

 

○「小学校外国語活動の会」平成24年度西部地区第1回研修会
  日時:平成25年3月2日(土)13:00~16:45
  場所:島根県立大学 中講義室2(講義・研究棟)

 

・報告「小学校における英語活動等国際理解活動指導者
 養成研修報告」

          発表者:坂根 大雅(益田市立鎌手小学校)

・実践発表 
 「授業実践紹介」
      提案発表者:河原 史博(浜田市立石見小学校)
 「外国語活動で使える英語の絵本紹介」

      提案発表者:ケイン・エレナ・アン(島根県立大学)


・授業実践演習 
      提案発表者:加藤 君江、梶谷 修一郎
                   (江津市立渡津小学校)

 

2.小学校教員に必要な教室英語CDの作成
 英語を専門としない小学校教員が必要としている、授業に使用する教室英語の音声CD作成については、上記の研修会を通して、小学校教員が特に必要としている教室英語を集約し、小学校教員・中学校の英語教員・ALT・県教委/県教育センターの指導主事・大学教員の協力のもと、英語と日本語の吹き込みを行い音声CDを制作した。制作したCDは、県下の全小学校と、中学校教員からの声をもとに、中学校にも配布した。


 


3.小学校外国語活動に関するアンケート調査
 小学校外国語活動について、島根県の現状と課題を把握し、大学として支援できることを知る為、県下の小学校に上記のCDを送付する際、アンケートを同封し、記入と返送を依頼した。回答は現在、集計中である。7月下旬までには、本プロジェクトの代表者のHPに集計結果と分析を公開する予定である。

 

研究組織
所属・職 氏名 専門分野
教育学部・准教授 ○大谷 みどり 小学校外国語活動,異文化コミュニケーション
外国語教育センター・准教授 Carmella Lieske 英語教育学
附属学校・外国語指導助手 Megan Katayose 小学校外国語活動
島根県教育委員会
義務教育課主事
渡部 政嗣 地方教育行政、英語教育
島根県立教育センター主事 鎌田 真由美 地方教育行政、英語教育
奥出雲町立亀嵩小学校
・教頭(元県教委主事)
大谷 淳司 初等教育
附属小学校・教諭 加藤 君江 初等教育
本プロジェクトにより期待される効果
(成果の公表方法を含む)

1.現場の教員・学生には、小学校外国語活動の在り方と、その実践方法を学ぶ貴重な機会となる。

 

2.本学部の学生には、現場の教員の実践を見て意見を交わすことにより小学校外国語活動についてだけではなく、教師という仕事・教育現場の在り方を学ぶ貴重な機会となる。

 

3.大学の教育資源を活かし、地域の状況と課題を把握すると共に、地域のニーズにあった教材を作成・配布することで、大学の地域への貢献につながる。

 

4.県教委・教育センター・教育事務所の主事と連携し本プロジェクトを進めることにより、大学と県の教育行政との連携を、より具体的に実現する事が出来る。

 

5.学会等で、大学と行政・現場との協同プロジェクト、地方からの発信教材として成果を発表することが可能である。