現職家庭科教員との連携強化による教員養成機能の向上
( 2011年度)
プロジェクトの名称 | 現職家庭科教員との連携強化による教員養成機能の向上 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プロジェクトの概要 | 島根県及び鳥取県に勤務している中学校・高等学校の家庭科教員は、島根大学教育学部出身者が多数を占めている。現在在学している学生にとっては、これら先輩の家庭科教員は、ロールモデルになるものである。そこで、島根県と鳥取県に勤務している先輩の家庭科教員と在学生とが直接的に交流したり、教育実践を通して直接指導を受けたりする機会を持つことによって、教職への意欲を高めることや高度な教育実践力を身に付けることを意図している。 学生達は学部での教育実習、大学院生は教育実践研究において教育実習に取り組んでいる。このようなルーティンワークとしての教育実習のみならず、学生達にとっては先輩の家庭科教員の協力を得て、さらに自主的に教育実習に取り組めるようにシステムを検討するための試みを行う。 さらに、学生達が授業実践で世話になる対象学級の児童・生徒および家庭科教員のサポートを学生とともに、我々大学教員によって実施する。特に日進月歩で発展をとげている衣・食・住や家族の分野での教材研究支援、授業研究支援等を併せて行い、地域貢献につなげていく。 |
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プロジェクトの 実施状況 |
1.教材研究支援を通した専門性の高度化・・・高橋 哲也 「衣服の快適な着方を考えよう」という主題の附属小学校の研究授業の一貫として、小学校の授業に取り入れることができる「衣服に付着する汚れの可視化」について検討した。ニンヒドリン試薬を用いるものの、反応時間を促進させるために適温での加熱が必要となる。教室で実施するには、恒温器やオーブンは使用できない。小学校の被服室でも容易にできる方法を工夫するため、附属小・竹吉昭人教諭と共に、数度の予備実験を行った。アイロンを用いる方法によって、試薬濃度の調整などを行った。その結果、汚れの可視化が充分に可能となり、授業にも取り入れることができた。2011年11月4日に開催された島根大学教育学部附属学校園の研究発表協議会でも生かされた。このように、目に見える汚れについては洗濯の必要感は十分あるものの、目に見えない汚れについては洗濯の必要感が低い子どもたちに、目に見えない汚れも示すことで洗濯の必要感を高めることができた。洗濯の仕方を学習することへの意欲向上にもつながった。 このような教材研究の過程ならびの授業研究の折に、家政専攻の大学院生と3回生、4回生が参加し、教材の工夫のし方とその教材を使用した授業の効果について検証を行ない、効果のあることを立証した。 2.地域の特産を活かした教材の工夫・・・・鶴永陽子 中学校家庭科の食生活領域では、「地域の食材を活かすなどの調理を通して、地域の食文化について理解すること」が目標の1つである。島根県は地域独自の食材に恵まれており、豊かな食文化を築いてきている。しかし、若い世代の嗜好の変化によって、それらの食文化が十分に伝えられていない。そこで、島根県の特産を活かし、若い世代の嗜好にあう食品やメニューの開発などによって、新しい食文化の創生が求められている。このような課題に応える食品として、島根の特産である西条柿を使用した新たな食品の開発と教材化の試みのための研修会の開催した。 家政専攻の大学院生、学部の3,4回生及び卒業生も参加し、積極的な意見交換を行ない、教材化の方向性を見いだした。 ・主催:島根大学、島根県、公益財団法人しまね産業振興財団 ・日時:平成24年3月9日(土) 14:00~17:55 ・場所:島根県男女共同参画センター 3.環境と消費生活を統合した小学校家庭科の教材開発&授業研究・・・・多々納道子 島根大学の教育学研究科は、教員として高度な実践力を育成することを目標にしており、大学院においても教育実習を課している。この教育実習を行う際に、大学院生、附属学校教員および大学教員(多々納)の3者が、それぞれの立場から案をだし、小学校家庭科で課題となっている環境と消費生活を統合して、いかに「環境に配慮した生活の工夫」ができるか、教材研究を行い、実習授業として行った。今回は、環境と消費生活をつなぐキーワードとして、地産地消とフードマイレージを設定した。 授業の実施は、2011年12月初旬の3時間を当てた。子どもたちへの事前・事後調査の結果から、今回の授業に子どもたちは、意欲をもって取り組み、今後環境を考えて生活することへの強い意識を高めることが、確認できた。このような授業を行うについて、院生にとっては先輩となる教員(竹吉昭人教員)の指導を受けて、実際の教育実習を体験するができた。院生にとっては、先輩教員から指導を受けたこと、先輩教員にとっても、後輩を指導することに大いなる意義を感じて指導しており、院生の実践力を高めることに繋がった。 本授業実践を行った院生は1人であったが、生活系家政コースに在籍する他の院生2人も授業の準備や授業観察に協力して取り組んでおり、彼らの感想からみると、授業実践力の向上に寄与したものと考えられる。 4.ミニ畳作成を通した日本文化のとしての畳の教材化の試み・・・正岡さち 近年、日本の生活文化が見直されて来ている。住宅で言えば畳を床材とし座敷飾りを持つ形式の和室がそれに当たる。しかし、現実的には、日本全体において住宅から和室が減少して来ており、和室がない住宅も増加しつつある。このように、身近なところで和室が減少し、和室と触れ合う機会が減ることによって、日本文化として受け継がれて来た住文化についての理解がどんどんなくなって来ているのが現状である。これは家庭科教員においても例外ではなく、和室の構成やその特徴について正確な知識を持っている教員も少なくなって来ている。特に若い年代の教員ほど、顕著であると考えられる。そのような中、いかに日本の住文化について次世代に伝えていくかということは大きな課題であるといえる。 本研究室では、以前より、畳業界と連携し、日本文化としての畳を題材とした子ども教室や建築業界の講習会等、様々な活動を行って来ている。 本年度は、『日本文化としての和室とミニ畳作成』というテーマで免許状更新講習では、和室の歴史とその特徴、畳の特徴を伝えるとともに、ミニ畳の作成を通して、その教材化の方向性を探った。 講習には、人間生活環境教育専攻の3・4回生も参加し、ミニ畳作成及びその後の意見交換に参加し、教材化の方向性を検討した。 ・日時:平成23年8月29日(月) ・場所:島根大学教育学部 |
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研究組織 |
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本プロジェクトにより期待される効果 (成果の公表方法を含む) |
高度な教育的実践力と教職への強い意欲を持つ教員養成を行うことにより、本学部の中期目標・中期計画の達成に寄与する。また、それは地域貢献になる。 今回の取り組みは、新たな計画であり、実践記録をとったり調査を行ったりして、その成果を明らかにする。これらの取り組みはホームページで公表したり、日本教育大学協会の研究集会や学会等で発表を行なったりする。 |