第8回「教育学部アカデミックカフェ」を開催しました
半年に一度のペースでおこなってきたアカデミック・カフェもすでに8回目を迎えました。今回、健康スポーツ教育講座の伊藤豊彦教授にご発表をお願いしました。伊藤教授は、平成26年度日本体育学会賞を受賞しておられ、その研究成果の一端を拝聴させていただきました。
1.発表者 伊藤豊彦教授
2.日 時 平成27年1月27日(水) 17:00~18:00
3.場 所 島根大学教育学部 学部長室
4.題 目 小学生の体育学習における動機づけモデルに関する研究
これまで、体育学習の動機づけを個人の問題として内発・外発の二項対立的に捉える傾向が強かったのに対して、伊藤教授は、学習者の置かれた環境要因、つまり教師や仲間など、子どもを取り巻く集団の役割に着目されました。そして、動機づけモデルを統計的に分析された結果、熟達志向的な雰囲気、および協同雰囲気が、ポジティブな学習動機を高めることを明らかにされました。筆者がかつてそうだったように、運動が苦手な子どもにもそれぞれの個に応じた努力を認め合う協同の雰囲気が大切であり、教師の側もそうした雰囲気づくりを働きかけることが肝要であると理解いたしました。
出席者の間でも本研究の方法論的な独創性や先見性が注目され、統計や分析の手法・技法に関する質疑によって改めて研究の意義が確認されました。調査対象が現実の学校や児童であることに発する困難さと面白さが再確認され、研究内容が先鋭的である故に教育実践に結びつける際に生じる諸問題などについても活発に意見が交換されました。また、参加者の専門領域や実体験が踏まえられて質疑が発展し、体育学修の動機の範囲にとどまらず、学生や社会人の運動・スポーツの動機づけにまで議論が発展しました。