AO入試「面接・課題提示による作業I」の課題と【連絡事項】

公開日 2011年11月08日

 

AO入試「面接・課題提示による作業I」の課題と【連絡事項】

  

 島根大学教育学部のAO入試,第2次選考「面接・課題提示による作業I」の課題は,以下の通りです。当日,面接室においてのいずれか1つの課題が書かれた紙(「課題用紙」A4版1枚)が配布されます。
 なお,この試験課題についての質問は事前,当日ともに受け付けません。

 

 
 2011年6月,小笠原諸島がユネスコの世界自然遺産に登録されることになった。同諸島は固有の動植物が多く,独特の生態系を有していることや適切な保護の取り組みがなされていることなどが評価されたものである。登録によって,保護・管理がさらに行き届くことに加えて,観光や経済などの地域振興を期待する声も大きい。一方で,観光客の増加により逆に自然が傷つけられてしまうことを危惧する声もある。すでに世界自然遺産に登録されている国内の事例もふまえながら,これからの小笠原諸島がどうあるべきかについて,討論しなさい。

 

 私立学校や国立学校を除く公立の小・中学校では,決められた学区に基づき,居住地に応じて通学する学校が定められている。しかし,1990年代後半の行政改革をきっかけとして,一部の地域で学区を越えた通学を可能にする「学校選択制」が導入されている。これにより,児童・生徒にとっては教育環境の良い学校を選択する余地が広がるが,学校にとっては人気校・不人気校の間の格差が広がり,同一教育水準の維持に影響が出る可能性も懸念されている。制度を導入した地域の現状や,そもそも義務教育はどうあるべきかという原理的問題も交えながら,学校選択制の是非について討論しなさい。

 


 現在,日本のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定:Trans Pacific Partnership)への参加が議論されている。この議論に対して,農業分野からは,「TPPに参加すると輸入品が安く購入できるようになるため国内産の商品が売れなくなり,日本の農家の多くは廃業に追い込まれてしまう」,「食糧自給率がさらに低下してしまう」という意見が出されている。その一方で,日本の商品も関税がかけられることなく輸出できることから,「安心・安全な日本の商品を海外にアピールできるチャンス」と捉える意見もみられる。今後の日本の農業の在り方を考える上で,日本はTPPに参加すべきかどうか討論しなさい。



 2007年,熊本市内の病院に「こうのとりのゆりかご」(いわゆる赤ちゃんポスト)が設置されたが,今年に入り関西にも設置を検討する動きが出てきている。生まれて間もない新生児が遺棄されて死亡する事件や,乳児の虐待死を未然に防ぐことを目的として設置されているが,赤ちゃんポストの設置が,保護者の育児放棄や安易な届け出を助長するのではないかとの見方もされている。赤ちゃんポストが設置されている現状と,新たな設置が検討されている動きを踏まえて,赤ちゃんポストの是非について討論しなさい。

 


 自然災害が相次ぐ昨今,我が国では人々の防災への意識が高まっている。学校における防災対策も喫緊の課題である。児童・生徒の安全を確保するだけでなく,地域の防災拠点としても,災害対応の計画やマニュアルの十分な検討が求められる。一方で,想定外の事態では,計画やマニュアルの限界も指摘されている。学校の防災機能や防災対策がどのようにあるべきかについて,現状を踏まえて,討論しなさい。

 


 東日本大震災の復興財源と関連して,たばこ税を増税するかどうかが議論されている。増税に賛成する人は,たばこは生活必需品でなく,また喫煙は健康にも良くないので,優先的に増税すべきだと主張する。一方,増税に反対する人は,他人に迷惑をかけないかぎり個人の好みはそれぞれ自由だし,実際上家計の負担は低所得家庭ほど重くなるとして,増税すべきでないと主張する。両者の意見を踏まえ,また税率の現状や各国の場合も考慮に入れながら,たばこ税増税の是非について討論しなさい。

 

【連絡事項】受験生の皆さんへ

1.  試験当日,「面接・課題提示による作業I」,「面接・課題提示による作業II」の試験時間内において,控室で待機している時間がかなりあります。自習の準備をしておくようにしてください。
2.  「面接・課題提示による作業I」では,試験会場で「課題用紙」が配布されます。「課題用紙」には課題(のうち1つ)が記載されているほかメモ欄が設けてあり,メモをとることができるので,筆記用具を準備してください。