第9回「教育学部アカデミックカフェ」を開催しました

 さる6月29日、第9回アカデミックカフェが開かれ、このたびは共生社会教育講座の富澤芳亜教授にご発表いただきました。

 

1.発表者  富澤芳亜教授  

2.日 時  平成28年6月29日(水)17:00~17:40  

3.場 所  島根大学教育学部 学部長室  

4.題 目   日中戦争期の華北占領地の鉱業と華北交通

 

 日中戦争期の華北占領地においては、石炭などの鉱物資源を日本に供給するための会社、「華北交通」が設立されました。同社は、占領政策の正当性を国内外にアピールするために大量の写真を撮影しました。今回、石炭採掘に関する写真を中心に解説され、おおよそ以下の点をご教示いただきました。まず、華北で生産される良質の石炭や鉄鉱石は、日本の製鉄業や兵器生産にとって、つまりアジア太平洋戦争を遂行していく上で不可欠な資源であった。つぎに、日本の優秀な技術力によって中国の炭鉱業を近代化すると主張していたが、実際には華北の主要な炭坑はすでに近代的設備を備えていた。しかし、随所にあった中小規模鉱においては未熟な労働力の大量投入による増産が優先され、炭坑爆発事故やコレラの流行などで多くの犠牲者を出した。

 映像資料だけでなく、図表や地図など配付資料も豊富で、時間が限られていたことが残念に思われました。「大東亜共栄圏」が西洋の植民地支配からアジアを解放したなど、日本の侵略を正当化しようとする言説も後を絶ちませんが、その欺瞞性を突く内容であったとも言えましょう。