令和2年度 第16回教育学部アカデミックカフェを開催しました。

「第16回 教育学部アカデミックカフェ」をオンラインで開催しました。

1.発表者         

・早川 知宏 助教(小学校教育専攻)教育方法学・特別活動

・野村 真弘 講師(美術科教育専攻)絵画、現代美術、表現と鑑賞、美術教育

2.日 時     令和3年1月27日(水)15:00~16:00

3.場 所      Microsoft Teams

 

  今回のアカデミックカフェでは、昨年度着任された2名の先生方に、自己紹介を兼ねてのこれまでの研究内容と今後の研究についてご発表いただきました。

 

 教育方法学をご専門とする早川先生からは、教育方法学の日本における歴史、学際的性格、研究対象領域、学問的固有性などについて、詳しくお話しいただきました。日本の教育方法学は、1869(明治28)年に当時のプロイセンヘルバルト学派の教育学者ライン(Rein,W.)の概念が能勢栄による翻訳を通して紹介されたことが始まりであり、ドイツのヘルバルト学派の影響を受けたものであることをご説明いただきました。早川先生はドイツ教授学を主に研究されており、これまでの研究内容として「現代ドイツ教授学における規律の指導に関する研究」の概要をご紹介いただきました。今後は、この研究を基として、第二次世界大戦後の旧東ドイツ及び旧西ドイツそれぞれの規律の特質が東西統一後にどのように受け継がれ、またどのような思想が消滅していったか、その連続性や非連続性について深めていきたい、と述べられました。

 絵画や現代美術がご専門の野村先生からは、モダニズム絵画論や現代美術(現代アート)の現状などについて、これまでに制作された作品の写真などを交えながらお話しいただきました。19世紀の産業革命のカメラの普及により「絵画の死」という状況が生じ、そこから絵画の純粋性(構造や独自性)への探求について積み重ねられた議論や制作方法が「モダニズムの絵画論」といわれるものである、とご説明いただきました。また、今まで美術ではなかったものを美術としてみるためにはどうしたらよいか、その思考を考えるのが多様な現代美術(現代アート)のひとつであり、思考法における自らの実践と反省を通して、「自分なりのものの見方」で世界を見つめること、「自分なりの答え」を生み出すこと、それによって「新たな問い」を生み出すこと、つまり、物事を発見する方法と思考の発展方法について学んでいる、とお話しされました。

 

 それぞれの発表後は、個の尊重と集団としての凝集性、美術と哲学といったさまざまな観点から活発な議論が交わされました。

 

 

    早川 知宏 助教              野村 真弘 講師