第2回だんだん塾講演会

特別支援教育 講演会】
 最近の学校現場において,特別支援教育へのニーズが非常に高まっています。本学部の学生においても,基礎体験活動などで特別に支援を必要とする子どもたちと関わる中で,どのように対応したらよいのか分からなくて困ってしまった経験が多く報告されます。 
 そこで,第2回のだんだん塾では,実際に現場で特別支援教育に携わって来られた先生を講師にお迎えし,具体的な事例を通して,教師としてのあり方を学びました。

実施日: 平成23年12月7日(水)14:30~16:00
会場: 教育学部多目的ホール(517)
参加者: 教育学部 学生30人(1~4年生) 教職員7人
講師: 梅田 英樹 氏(松江市 発達・教育相談支援センター指導主事)

演題:
「知ること・理解しようとすること,敬意をもつこと・まねようとすること」

講演の概要と様子:
 講師の梅田先生ご自身が,新任当初に担任された特別支援学級(当時は特殊学級)の子どもたちとの生活などの様子から感じたこと,考えたこと,実際の有り様をもとに,
・その子どもたちのことを「知ること」で,自ら関わり方についての不安がなくなり,行動することができる。
・関われば関わるほど分からないことが出てくるが,「理解しようとする」姿勢をもちたい。
・「敬意をもって」,子どもたちとその家族に向き合うことが大切である。
・まずは経験者や他の先生方の「まねようとしてみる」ことで,得られることがある。
と,お話をされました。

 そして,特別支援教育の概念や法律の改正の変遷,現在の障がい種と特別支援学校・特別支援学級について解説していただきました。先生ご自身の経験をもとに,具体的に子どもの姿を通してのお話で,イメージをもちやすく,分かりやすいものでした。

 「知的障がい」や「発達障がい」に関する○×クイズも行われ,聴講した学生は頭をひねりながら回答し,今までの知識が不充分であったことを痛感しながら,その後の解説を聞くことで理解を深めました。自閉症の子どもを扱ったテレビ番組の映像も紹介していただき,子どもの姿や保護者の様子について知ることができました。

学生たちは,聴講後,各自でふりかえりを行っています。その一部を紹介します。
 私は今,基礎体験活動で障がいのある子どもたちと一緒に様々な活動をしています。初めの頃は,どう子どもたちに接したり,話しかけたりするか分からなかったけれど,今は先生の言われた「子どもにふれ,関わり,自分を視野に入れてもらう」ことによって接するようにしています。それが「子どもの世界に入っていく」ことであると思いました。
  (講演中に)テストをしてみて思ったことは,そのままでは見えないことでも,誰にでも少し補助をしてあげれば発見できることがあるということでした。ビデオでも,子どもの保護者が工夫した援助で日常生活を送ることができていて,子どもには何が必要なのかを考えて工夫していると思いました。
  印象に残ったのは,「子どもに一汗かかせるためには,自分が三汗四汗かかないと」と言われたことでした。人を動かすには,知って,理解して,考えて,行動することが大切だと思い,実行していこうと思いました。
 今回の特別支援教育の講演会は,とても興味をもって聞くことができました。それは多分,先生がお話しされた「知らない」から「知る」ことの重要性を私自身も感じていたからだと思います。介護等体験を通して,私は「知らないから偏見をもったり,関わるのが怖いと思ったりしてしまうんだ!相手を知ることってとても大事だな」と学んでいたので,大変共感をもちました。
  障がいがあるから仕方がない…で済ませるのではなく,こちらが工夫して近づけば,いろいろな可能性が引き出せるのだと分かりました。まずは,相手の世界に入り,それから自分の世界に入ってもらおうという言葉がとても心に残りました。
  その他,ドラえもんに例えたお話や,見えない杖のお話など,とても分かりやすく,ためになる講演でした。
 障がいのある子どもたちと向き合う中で,私は子どもたちのことを知るうちに,次第にたくさんの世界を子どもたちと一緒にふれたり,見たり,広げたりしたいなという思いを抱くようになりました。ただ,それと同時に自分には何ができるのかという,力の微力さや無力感を感じることも多かったです。先生の言われた「敬意をもって」「まねようとしてみる」という姿勢は,とても大切だと感じました。この姿勢は何歳になっても,もち続けたいと思います。
  来年から小学校の教壇に立ちますが,子どもたち一人ひとりの困り感に対して,向き合っていくことを大切にしたいです。そして,子どもたちの姿を,(担任する年数だけでなく,入学~卒業後にも目を向ける)長期的な目線で考えていきたいと思います。「まねようとしてみる」ところから自分なりの接し方ややり方が見つかったとき,今一度,初心に立ち返ってよりよい方法を模索し続ける教員でいたいです。

 講師の梅田先生には,学生たちに向き合い,熱く,そして随所に工夫を凝らしてお話いただきました。特に,ご自身の経験をもとにされた障がいのある子どもたちやそのご家族と向き合う教育についてのお話は,今後,現場で活躍していくであろう学生たちにとても参考になりました。時間の経つのを忘れ,もう少しお話を聞きたいという感じでした。当日都合により聴講できず,本講演の記録DVDを借りて自宅で聴講している学生もいました。

 このような機会を通して,今後現場で実践を行っていく学生たちが,特別支援教育について理解をさらに深め,子どもたちとのよりよいかかわり方に努めていくことができると考えています。