第5回だんだん塾講演会

「自信、アル? ~今を生き抜く科学リテラシー~」
講師: 左巻健男氏(法政大学生命科学部環境応用化学科・教授)
実施日:
2009年1月21日(水)16:15~17:45
場所:
教育学部 多目的実験室I
参加者:
18名
 最近、子どもの理科離れが問題視されている。講師として招いた左巻健男氏は、理科教育に造詣が深く、関連著書も多数ある。その左巻氏より、理科という教科がもつ意味とは何か、科学的とはどういったことか、これからの時代を生き抜く社会人としての基礎的素養などについて、ご自身の経歴を素地に講義していただいた。

 特に、子ども時代は勉強ができず、教科書の内容を理解するのに相当の苦労を要したことや、自分なりに工夫し、それを克服してきたこと、また教員になって「いかに教えるか=いかに共有するか」を軸に行ってきた教育実践などは、参加学生にとって大変意義深い講義内容であった。

  また、教材開発の面白さとその重要性について、既刊の中学校理科教科書のほとんどに写真が掲載されている「カルメ焼き」の実験(第1分野 化学反応-分解-)を題材にお話しいただいた。この実験を教材としたのは、ご自身の発案であることやその誕生秘話などは、誰もが写真で見たことのある実験だっただけに、参加学生らの驚きは大きかったようだ。その後、実際にカルメ焼きの実験を行い、実験の指導においては、予備実験が重要であること、成功の条件をよく調べ、何度も練習して子ども達の指導に当たることなど理科実験の指導の極意を教えていただいた。学生は皆、失敗を繰り返しながらも楽しんで実験を行い、実験の面白さを改めて認識したようだった。

  最後に、科学リテラシーの重要性やその根本が「なぜ?」にあること。子ども達を育てる教師としての心構えに限定されず、これからの時代を生き抜く社会人として大切である諸点もまとめていただいた。