令和7年度 第27回 教育学部・教育学研究科アカデミックカフェを開催しました

公開日 2026年01月21日

発表者:  田中耕司先生

日 時:   令和7年12月24(水)16:00~17:00

方 法:   対面

場 所:   教育学部棟 517多目的室

題 目:   大村はまによる「個人差に応ずる実践と工夫」

 

 今回のアカデミックカフェでは、国語科教育専攻の田中耕司先生に、国語教育実践家・大村はまについて、長期研修(サバティカル)の成果を交えながらお話しいただきました。
 講演では、中央教育審議会答申「令和の日本型学校教育」で示された「個別最適な学び」と「協働的な学び」の考え方を背景に、大村はま(1906–2005)の教育実践とその意義が紹介されました。現在はICTの活用や少人数指導が重視されていますが、それに加えて、過去の優れた教育実践を丁寧に振り返ることの重要性が示されました。

 大村はまは、新制中学校の開始とともに公立中学校で教え、多様な生徒一人ひとりが、仲間と学び合いながら言葉の力を伸ばせる授業を長年にわたり追求してきた教育者です。講演では、個々の違いをどのように捉え、個別の学びと集団での学びをどのように結びつけてきたのかが、具体的に紹介されました。

 さらに田中先生は、鳴門教育大学附属図書館での調査により、未刊行資料「第十五巻 個人差に応ずる実践と工夫」を発見した経緯を報告しました。この資料は、大村はま本人による試案と考えられ、代表作である『大村はま国語教室』(全15巻+別冊)が刊行される過程で構想されていた内容である可能性が示されました。

 講演の後半では、刊行された全集とこの試案を比較し、もし試案がそのまま出版されていれば、より一層「個人差に応じた指導」に重点を置いた内容になっていたのではないか、という示唆が示されました。

 直筆資料の文字を読み解きながら教育者・大村はまの歩みをたどることで、研究の原点である「考える楽しさ」を改めて感じる、充実した1時間となりました。