公開日 2019年10月24日
「第12回 教育学部アカデミックカフェ」を開催しました。
1 発表者 下村岳人 講師 (初等教育開発講座)
2 題目 「算数・数学教育に求められる対話的な学びとは」
3 日時 平成31年1月30日(水) 17:00~18:00
4 場所 教育学部・学部長室
現在、「主体的・対話的で深い学び」が新学習指導要領のキーワードであることから、「対話的な学び」や「話し合い活動」に注目が集まっています。今回のアカデミックカフェでは、下村講師より、「数学・算数科教育に求められる対話的な学びとは」をテーマに、ご自身の研究についてご紹介をいただきました。
下村講師のお話は大きく二つに分かれていました。ひとつは、話し合い活動の実態解明に関するものでした。算数授業のなかで子どもたちはどのようにして、彼/彼女らなりに理に適った説明を相互に作り上げていくのか。このプロセスの解明に取り組んでいらっしゃる下村講師は、言語行為論や数学教育学の先行研究を踏まえたご自身の理論枠組みや研究スタンスを述べられたあと、ディスコース分析の途中経過について報告されました。
お話のもうひとつは、話し合い活動の評価に関わるものでした。教科の授業・学習である以上、話し合いの過程・帰結にもなんらかの評価が必要になります。下村講師は、数学的真理についてのご自身の認識論を基に、評価の基準をどう考えるか、またその基準によって話し合い活動をどう分析・評価していくかについて、研究上の見通しを述べられました。
ご報告後、参加者からは多くの質問や感想が出されました。子どもたちの話し合い活動は、算数教育・数学教育として獲得してほしい真理や知識と関連しそうか。分析結果は、例えば評価ルーブリック作成に活かせそうか。分析対象の授業における教師の働きかけの実際はどうだったか、どうあるべきか。人文系教科での話し合い活動の評価方法はどう考えたらよいか。これら多様な質問に対し、下村講師は、研究成果や見通しを基に、またご自身の小学校教員時代の授業の様子のビデオ映像も流されながら、対話的な学びや話し合い活動のあり方、指導の仕方について丁寧に回答をされました。「対話的な学び」というホットなテーマ、そして下村講師の熱心なプレゼンテーションに触発されて、領域を超えた活発な研究交流の場となりました。