入門期セミナーⅠ

ねらい:

教育体験活動「1000時間体験学修」の全体像を把握し,大学生活4年間の教育体験活動に対する見通しをもつ。

これからの大学生活を共にする学生同士が交流を深め,苦楽を共に享受しようとする仲間意識を培うと共に,島根大学教育学部生としての自覚を高める。

実施日: 平成24年4月14日(土)~4月15日(日)
会場: 島根県立青少年の家「サン・レイク」 【出雲市小境町1991-2 ℡(0853)69-1316】
参加者:

島根大学教育学部1年生176名,学生スタッフ37名,教職員9名,合計222名

【日程】

【開講式】 4月14日(土)

開講式では,まず秋重学部長の挨拶を聞きました。続いて,入門期セミナーⅠのねらいについての説明及び教育支援センタースタッフや学生スタッフの紹介がありました。

研修1 1000時間体験学修における教育体験の意義について

大谷センター長が自身の研究と関連させながら1000時間体験学修における教育体験の意義について話されました。その後,「基礎体験領域」「学校教育体験領域」「臨床カウンセリング体験領域」についてのくわしい説明を,担当の先生方よりしていただきました。

研修2  基礎体験活動の進め方

学生スタッフが基礎体験活動の魅力や活動の流れを,自分たちの体験をもとにした劇や解説で具体的に紹介しました。特に,子どもとふれあうことから得る学びや,事前・事後指導の大切さを楽しく伝えました。1年生は,基礎体験活動の流れを理解でき,セミナーⅠ終了後,スムーズに体験活動の登録等をすることができました。

研修3 大学生活について~先輩に学ぶ(班でのディスカッション)~

まず班ごとにグループリーダーの学生スタッフが進行役となりアイスブレイクを行い,リラックスできるグループを作りました。その後1年生の1000時間体験学修や大学生活全般についての疑問や心配事に対し,学生スタッフが自分自身の経験をもとにしてわかりやすく答えていました。この活動を通し,1年生は今後の大学生活の見通しがもてたようでした。

研修4 出会いの場の演出と仲間づくり

学生スタッフのリードにより,さまざまなレクリエーションをしました。活動をする中で,緊張が少しずつほぐれ,笑顔も多く見られました。協力系のゲームを多く取り入れることで,1年生同士の円滑な交友関係を築くことができました。

研修5 大学生の一般常識とマナー

基礎体験活動に参加する上で必要な常識(TPOに合わせた服装など)と社会人としてのマナー(電話のかけ方やメールの送り方)を,学生スタッフの劇やゲームなどの演習を通して実践的に学びました。1年生にとっては,大学生になって社会人と接する機会も増えるので,とても参考になったようです。

研修6  選択体験活動 4月15日(日)

宍道湖での湖面活動,施設周辺でのオリエンテーリング,施設を利用したニュースポーツ及び基地づくりなど,さまざまな体験活動を班で選択して行いました。自然の中での体験を通してさわやかな汗をかくとともに,班の仲間とのコミュニケーションも深めることができました。

研修7 基礎体験活動記録票の記入及び臨床カウンセリング体験アンケート

①基礎体験活動記録票の記入
基礎体験活動記録票の記入について説明を受けました。また,このセミナー全体を振り返り,セミナーで得た学びや今後の体験学修における自己課題などを記録票に書きました。

②臨床カウンセリングアンケート
2年生から履修する「臨床・カウンセリング体験領域」にむけての事前アンケートを行いました。多くの設問に答えることにより,授業への関心の高まりが感じられました。 

【閉講式】

大谷センター長より,入門期セミナーⅠでの学びを今後の学修や大学生活に生かし,4年間で確かな教師力を身に付けていくことについての話がありました。また,1年生代表よりお世話になった学生スタッフや先生方に感謝の言葉が述べられ,学生スタッフからも応援メッセージが伝えられました。

≪ 1年生の感想 ≫
○今回の入門期セミナーⅠを通して心配だったことなどが解決でき,安心することができました。特に1000時間体験学修の中の基礎体験の400時間をどう選択をするかは,劇を見てその大半を知ることができました。また劇やゲーム,グループリーダー(以下GLと記す)さんの動きを見ていると先輩方がどれだけ準備をされてきたのかについて考えさせられたり,前で堂々と話されていることに感心したりしました。私も1,2年後には,今回お世話になった先輩方のように振る舞うことができるようになりたいと思いました。

○この2日間,班で活動を共にしました。しかし,班員同士で自分の殻を破れていない部分がたくさんあると思いました。そんな時にGLさんが話題作りをしてくれたりして少しずつ話しやすくなっていきました。自分から殻を破ろうとしなければみんなも気を使い合ってしまうと思います。これから多くの活動を共にする中で自分から動く力を身につけたいと思った。

○先輩方のレクリエーションで班だけでなく班外の人とも仲良くなりました。聞くところによると先輩方も意図があってどのゲームにしよう,次はこれにしようと入念に準備をしてくださったことも分かり,自分も学生スタッフをやってみたいと思いました。1000時間体験学修についてはまだ不安も残っていますが,とにかくやってみたいという気持ちが強く近いうちに登録をしたいと思います。

○先輩と話をする中で,いろいろな活動に参加し,いろいろな人に出会うことが教師力の向上につながるなと思いました。子ども達との活動だけでなく,介護の体験等もあり幅広い年代の人とコミュニケーションを取りたいと思いました。4年間の中でこの1000時間体験学修プログラムは,本当に有意義なものになるなと思います。この2日間で学んだたくさんのことを心に残して4年間頑張りたいと思います。

≪ 学生スタッフより ≫
○私は,リーダーシップを発揮したり,人とコミュニケーションをとったりすることが苦手でした。今回,自分自身を自分から動かないといけない環境に置いてみて,進んで行動することなど経験を積むことができ力がついたと思います。反省点は,まだまだ先輩に頼ってしまっている点が多くあったことです。また,後輩との距離感も課題であると思いました。答えを与えるのではなく,答えを引き出すための発言をすることの難しさを痛感しました。(2年生女子)

○昨年からの参加で慣れている分,今年は新2年生へのバックアップと新入生への適切な対応,関わり方を目標としていましたが,新2年生の真面目さや頑張りに逆に背中を押されてしまいました。今年の新入生は元気がよく対応に戸惑う場面もありましたが,2日間でうまく仲間づくりのきっかけとなるものが得られたと思います。学生スタッフにとって,1日目は,試行錯誤しながらの取り組みで不安もたくさん出てくるが,2日目は,広い心と目でまわりを見渡して「良いこと」を見つけられる日だと気づきました。今後のいろいろな活動では,事前準備で手を抜かないことを課題にしていきたいです。(3年生女子)

○今年度は総括スタッフとして臨みました。学生スタッフをまとめる立場にありましたが,全員が各研修の準備を通じモチベーションを高めた状態で当日に挑めたことをうれしく思います。総括として,準備や当日の動きを先生に相談し,想定して臨む面でまだまだ未熟さを感じました。しかし,これまで経験した基礎体験や実習から総括としての働きに活かせた面がたくさんあったと思います。また,今後の生活や実習に活かしていくことが,この研修,総括をやりきった意味になると思います。(3年生男子)

入門期セミナーⅠは,新入生を対象とした初年次教育のガイダンスであると共に2,3年生の学生スタッフ参画の研修として位置づけ実施しています。研修2,3,4,5や朝の集いを学生企画とし,セミナーの進行や新入生への指示などの運営の大部分も学生スタッフ主体としました。今年度は,7名の総括スタッフを中心に,37名の学生スタッフが参加し,2月の中旬より多大な時間と労力を費やしながらセミナーの企画や準備を行い,新入生目線に立った有意義なセミナーを実施することが出来ました。

新入生の感想を見ると,4年間の大学生活の見通しが持てたと同時に,自分もこんな先輩に早くなりたいと思った者も多くいました。学生スタッフの感想には,自分自身の変容や成長,仲間とのつながりを感じたなどの内容が多くありました。

学生スタッフ参画による入門期セミナーⅠは,新入生にとっても,2・3年生にとっても学び多い貴重な体験の場となっており,今後も充実した活動にしていきたいと思います。