基礎体験交流会

 

実施日:
平成25年2月14日(水) 12:45~16:00
会場:

全体会    大学ホール
情報交換会  教育学部棟各教室

参加者:
教育学部   1年生・2年生

目的:

  ・基礎体験で取り組んだ今年度の活動実績の確認をするとともに,それらの振り返りを通して自己内省を促す。

  ・他学年の学生との体験活動の情報交換を通して,自分が体験していない活動で 得られる学びの共有化をするとともに、今後の体験活動への意欲化を図る。

  

 1 全体会
(1)趣旨説明・活動時間数の確認
 冒頭で,基礎体験交流会の趣旨を説明し,活動記録票の整理や活動時間の確認を行いました。 

   

 

(2)学年代表による体験発表
 1・2年生の代表4人が体験発表を行い,1年間の基礎体験活動を振り返り,その意義についいてもう一度考える機会を設定しました。 

「安来市の子ども探検隊」で学んだこと 

数理基礎教育専攻1年  西村昴亮さん 

 安来市子ども探検隊の活動として,島大探検やクリスマス会など学生が主体となって企画・運営する活動もありましたが,子どもたちのサポートが主な活動でした。その中で感じたことなどについて3点述べたいと思います。
  1つ目は,子どもたちとのコミュニケーションや接し方についてです。子どもたちの中には,活発な子どももいれば,自分の思っていることを口に出せない子どももいました。特に後者の子どもの対応は戸惑うこともありましたが,表情やサインを見落としてはいけないと意識しながら活動しました。
  2つ目は,叱ることと褒めることです。叱ることは想像していたよりも難しいと感じました。ただ,怒鳴ればいいという問題ではなく,言い方やその後のケアも考えていかなければならないし,その時に応じた対応力を今後,身につけていきたいと感じました。
  3つ目は,責任や安全管理についてです。大山合宿では,登山や野外炊飯など少し間違えれば大きな怪我をしてしまう体験活動もあり,子どもたちへの目配り,声かけ,時には厳しい声かけも大事です。ただ,子どもたちと楽しむだけではなく,時や場所を考えて子どもたちに対する安全管理も大切であり,難しいことであると痛感しました。 

 

震災ボランティアでのお婆ちゃんとの出会い

初等教育開発専攻1年  嘉藤大地さん 

去年の夏休みに東日本大震災の被災地である岩手県釜石市にボランティアに行きました。ニュースでは,「復興の兆し」などと復興が進んでいるように言っていますが,現実は全然違いました。
 そんな中で,あるお婆ちゃんと出会いました。そのお婆ちゃんは,旦那さんが津波で流されて,仮設住宅に一人で暮らすことになったそうですが,まわりの方とうまく溶け込めなかったそうです。そんなお婆ちゃんに軽い気持ちで「普段は何をしているんですか。」と質問をしました。するとお婆ちゃんは,悲しそうな顔で「普段話す相手がいないから,家の前の石に話しかけている。」それを聞いて衝撃が走りました。その後,お婆ちゃんに「よかったらご飯を食べていきない。」と声をかけていただきました。貴重な食料だと思い,その誘いを最初は断りましたが,お婆ちゃんがすごく悲しそうな顔をされたのに気づき,席を外された間に,グループのみんなと相談し,一緒にご飯を食べることにしました。お婆ちゃんは,ご飯をよそう相手がいるだけですごく幸せを感じることや,瓦礫の撤去や掃除も嬉しいけど,こうして相手になってくれることが一番嬉しいと泣きながら話してくれました。そして,お婆ちゃんは最後に別れ際にこう言いました。「あなたたちには,たくさん笑って,たくさん泣いて,たくさん生きてほしい。」と。
 震災ボランティアの体験を終えて,被災者の状況を直接肌で感じたことを,自分たちは周囲に伝えなければならないと感じました。そして,これからも被災地に行こうと思っていますし,そこで得たことを身近な地域でも活かしていこうと思いました。 

 

 

自分自身を成長させてくれた「出雲の子」の活動

人間生活環境教育専攻2年  松浦一樹さん 

この2年間,「出雲の子」という活動に参加してきました。この活動は主に小学生と野外活動を通して交流し,その中で子どもたちが,仲間意識を芽生えさせることや自分自身の成長を感じることを目的としています。
 1年生の頃は,初めてということや先輩たちの活動する姿を見て学んでほしいということで,裏方の仕事が多く辛いこともありましたが,最後の研修会で,子どもから「ありがとう。楽しかったよ。来年もよろしくね。」という手紙をもらい,来年は,班付きリーダーをしたいという思いが強くなりました。
 そして,2年生になった私は,1年間班付きリーダーとして頑張りました。様々な小学校から集まってくる子どもたち。その子どもたちの不安を少しでも和らげるように,そして盛り上げられるように学生だけで企画し,話し合う日や練習する日が続きました。
この活動をしながらサークル活動,授業,その他の活動全てやりこなしていくのは大変でした。しかし今振り返ってみると,とても充実していたと感じます。忙しいからこそサークルを存分に楽しんだり,授業も集中して受けたりすることができました。つまり限られた時間の中で一つ一つの活動に集中して取り組むことができました。また,同じような困難な体験をしている先輩や仲間に支えられながら,ここまで頑張ってくることができ仲間の大切さに気づくとともに,活動を通して,子どもの言動に対する配慮や先のことを考えて行動することの大切さを学ぶことができ,自分自身の成長を感じることができました。 

 

コミュニケーションの大切さ

特別支援教育専攻2年  坂田幸恵さん 

私は,今年度の1000時間体験学修では,「療育キャンプ」や「ひだまりキャンプ」等,通級指導教室に通う子どもと野外で遊んだりバーベキューをしたりする活動に参加し,障がいがある子どもたちとたくさんふれ合ってきました。これらの活動を通して学んだことがあります。
 それは,「人とのコミュニケーションの大切さ」です。私が初めて,障がいがある子どもとのキャンプに参加したとき,Aさんは自閉症でした。当時の私は自閉症について全く知識がなく,反応が返ってこないことに戸惑いました。すると通級指導教室の先生が声をかけてくださり,「この人はどれだけ私を気にかけてくれているのか試している。だから無視されても根気強く話しかけることが大切」と教えてくださいました。この言葉通り,些細なことでも話しかけるようにすると,徐々に子どもの方から声をかけてくれたり,手をつないできたりするようになりました。「こちらの思いが伝わった」ということが本当に嬉しかったし,根気強く話しかけることの大切さを身をもって経験することができました。また,お互いが言葉を交わすことだけがコミュニケーションではなく,コミュニケーションには様々な形があるのだと実感しました。

 

 

2 情報交換会(グループ別協議)

1・2年生合わせて5~6名で構成するグループで,基礎体験活動についての情報交換会を行いました。60グループに分かれて,2年生の司会のもとで,基礎体験活動での学びや課題を出し合うとともに,学生同士がその課題に対して,一緒に考えたり、アドバイスを送ったりしました。

 【グループ別協議での話題や今後の見通し】
・限られた時間内で子どもとの距離を縮めることが困難だったが,仲良くなりたいという気持を持って歩み寄っていきたい。
・社会教育施設だけ,学習支援だけ,部活指導だけといった偏った体験活動をするのではなく,様々な活動に参加できるようにしたい。
・基礎体験活動での視野を広げ,先生や保護者ともっとコミュニケーションをとり成長していきたい。
・「1000時間体験学修ノート」を作成し,自分が活動を通し学んだことや課題,さらには今後身に付けたい力などを記録していきたい。
・活動の中で企画を任されることが多かったが,うまくいかなかったこともあった。今後あらゆる場面(天候、配慮が必要な子、予算等)を想定して企画・運営をしていきたい。
・「叱る」ことの困難さを感じたが,あらかじめルールを設けておき,子どもたちに「なぜ悪いのか」を理解させておくことの大切だと感じた。また,叱る時と褒める時の減り張りをつけていきたい。

 


 3 基礎体験交流会の感想 

〈1年生〉
◆いろいろな基礎体験活動をしてきましたが,一緒に活動してきた人と振り返りの時間はあっても,なかなか他の人との関わりはなかったので,様々な角度から話し合うことができたように思います。これから活動を続けていく中で,同じ活動を継続することも大切ですが,いろいろな分野の活動に参加したいと思いました。そしてまた,活動をした後に,何か自分の課題を見つけられるように心がけていきたいと思いました。【言語教育専攻】
◆私はまだ基礎体験活動への参加が少なく,活動に対する意識もとても消極的だったのですが,先輩方の話や同じ1年生なのにとても多くの活動をしている人の話を聞いて,まず一歩を踏み出すことがないと何も始まらないと痛感しました。先輩方に,「これからがんばれば大丈夫。」とい言われて,とても励みになりました。【音楽教育専攻】
◆自分たちと1年しか違わない2年生の方ですが,この2年間でたくさんの経験をしておられて,様々な話を深くできました。1年生だけでは,なかなか解決できないような事柄を2年生の方に相談すると,自分自身の経験をもとに,わかりやすく話をしてくださり,とても参考になりました。2年生になったら自分も様々な活動に参加し,来年の基礎体験交流会では,後輩たちによいアドバイスができるように頑張ろうと思いました。【健康・スポーツ教育専攻】
〈2年生〉
◆1年生の新鮮な話を聞くことができ,逆に刺激をもらうことができました。また,他の人の様々な体験に関する話も聞くことができ,自分がしたことのない活動についても知ることができました。今回の基礎体験交流会で得たものをこれからの活動に活かしていきたいです。【音楽教育専攻】
◆人の体験について時間をとって聞く時間がないので,よい機会だったと思います。今回,改めて思ったことは,「自分には子どもと関わる経験が乏しいな。」ということです。3年生になったら実習セメスターがあるので,そこでどんどん小学校に行こうと思っています。【初等教育開発専攻】
◆2年生として1年生にアドバイスするということをしてみて,自分が成長していることを感じました。基礎体験活動について,しっかりとした意見を,自信をもって言うことができる自分を見つけられたということが,私にとって一番大きかったです。【言語教育専攻】

 

4 まとめ
  1年生,2年生それぞれに大きな収穫があった基礎体験交流会でした。1年生にとっては試行錯誤しながら取り組んだ基礎体験活動だったと思います。その中で学んだことや自分自身の課題も明確になりつつあるのではないでしょうか。
  また,情報交換会の様子を見ていて2年の成長を感じました。1年生の悩みや課題に対してアドバイスする姿はとても頼もしさを感じました。自分では気づいてないかもしれませんが,着実に力が付いているなと確信しました。
  2012年度がもうすぐ終わりますが,2013年度も充実した基礎体験活動を行い,自分自身を更に向上させていってほしいと思います。

お問い合わせ

附属教育支援センター