各大学発表 島根大学②

「1000時間体験学修を通して学んだこと②」~藤本昌克(初等開発専攻)
小規模学習支援を通して

 

 

 

 

 

 

これから述べます活動は1000時間体験学修の中でも一番思い入れがあり、自分自身が大きく変わった活動です。その活動とは3回生後期の実習セメスターで松江市からフェリーで片道3時間の離島にある公立の小規模小学校で行った学習支援です。

この学習支援を9月に2週間、2月に1ヶ月行いました。そこで私は担任に近い状況でかかわりを持つという経験が出来ました。授業の他にも職員朝礼や職員会議などにも出席させていただいたり、参観日や卒業式といった行事にも準備の段階から携わることができたりしました。教員という職業そのものを肌で感じると同時に教員の難しさ、面白さを強く感じました。

この学習支援を通して、学校現場への見方考え方が変わりました。まずは、授業を見る視点が変わりました。授業を見る際に教師の視点で見るようになり、子どもへの言葉かけ、発問、返答など注意するようになりました。また、教室掲示に興味関心を持つようになりました。掲示物には授業の内容をまとめた物、子どもへの成長が見れる物、季節を表す物など様々です。教室掲示には担任の先生の個性が表れ、それがまた教室の雰囲気を表していると思います。

この学習支援は教職というものを学ぶだけでなく、進路選択に大きな影響を及ぼしました。私は幼稚園教諭になることが夢で島根大学に入学しました。しかし、初めての学校現場の体験で、子どもとのかかわりや小学校での生活を送ったことで、小学校や小学校教諭のよさを知りました。そして、幼稚園教諭1本という進路選択に小学校教諭という新たな選択肢が加わりました。

そして10月の大学の本実習を迎えました。学習支援を行って小学校教諭になることも考え始めていたので、授業に対する考え方、子どもに対するかかわり方に対する姿勢も変わってきました。この実習では授業作り、子どもとのかかわりに関して成果があったのですが、教職というものの知識がまだ乏しいという不満を抱いたまま実習を終えました。この時点で私の気持ちは小学校教諭希望となっていました。そして、本来はこの実習で終わるはずが、もっと学習支援に行きたいという気持ちにつながっていました。
1000時間体験学修から学んだこと

 

 

 

私は1000時間体験学修で先ほど話しました学習支援の他にも社会教育施設の主催事業にボランティアスタッフとしての参加、放課後児童クラブでの支援、大学主催の企画運営から携わる活動、1週間のサバイバルキャンプなどの様々な種類の体験活動を行ってきました。時間数でも4年間で10000時間の倍の約2000時間の体験をしてきました。

また、様々な活動を行ってきて、子どもから社会人までの幅広い方々とかかわってきました。子どもでも小学生、中学生または通級教室に通う子どもまでいろいろと関わる機会がありました。そして経験を積むうちに関わり方も変わってきました。

社会教育施設での活動ではグループリーダーとして関わることが多いのですが、子どもとのかかわりにおいて子どもの出来ることと出来ないことの見極めに苦労してきました。リーダーとしてどんどん手を出せば、楽なのですが子どもの成長には結びつきません。あまり手を出さず子ども中心で活動させることで成長へとつながっていきます。リーダー対子どもという図式になるのではなく、子ども対子どもで多く関わりを持たせるようにしています。そうすることで、問題やトラブルなどが生じ、上手くいかないことも出てきます。しかし、その問題にもリーダーとして乗り出すのではなく、子ども同士の解決につなげるようにしています。それは子どもとの立ち位置にも表れてきました。

以前は子どもの前に立っていたのですが、今は子どもの後ろに立ったり、時には中に入り込んだりしてリーダーということを意識させないようにしています。それは、子どもにはそれだけの力があると分かったからです。その力を引き出すためにも一人一人に目を配り、積極的な子ども、消極的な子どもなどそれぞれに応じた目線に立ち接していくことを念頭において活動しています。

今後の課題

子どもとのかかわりで積極的な子ども、消極的な子どもなどいろいろなタイプの子どもがいますが、やはりどうしても積極的に関わってくる子どもに目が行きがちになってしまいます。そして上手くかかわりがもてたと勘違いしてしまいます。しかし消極的な子どもにどのような関わりを持つかが大切です。そのためにも子どもの表情、動きなど細かいことに目を向けていき、自分にとっても子どもにとってもいい活動にしたらいいなと思っています。 そのためにも卒業まで残りわずかですが、しっかりと1000時間体験学修を活用して自分の力を磨いていきたいと思います。

また子どもを含めたくさんの方々との出会いもありました。「縁は広がるもの、人脈は広げるもの」ということで、出会いは更なる出会いを生みます。多くの人と関わることで、それぞれの立場や意見を知ることが出来、これまでになかった新たな目線やかかわりを持つことで自分の考えを広げるきっかけとなりました。これからも人とのつながりを大切にし、さらに広げるようにしていきたいと思います。

シンポジウムに参加してみて

今回のシンポジウムを通して、1000時間体験学修のまとめを行うことが出来た。また、1000時間体験学修について人に説明することで理解ができた。他大学の発表を聴いて、それぞれの課題など似た部分もあったり、活動など参考にしようと思ったりしたところもあった。1・2回生も熱心に聴いてくれたので、こちらも意欲を持ってできた。また、支援センターのありがたさが分かった。他大学生は活動を見つけるところからスタートなのに、こちらは支援センターが間に入ってくれるので助かっていることが改めて分かった。