応用期セミナー2006

「応用期セミナー2006」を開催(3回生の学生対象)
~これまでの基礎体験活動を振り返ってみよう!~

 期 日  平成18年12月21日(木) 

 場 所  島根大学・大学会館3F

  参加者  教育学部3回生、教育支援センター長、専任教員
3回生を対象とした応用期セミナーを開催しました。これまで取り組んできた基礎体験活動を振り返り、自分自身の成長を確認したり活動を通して見つかった課題をもとに新たな目標を設定したりすることがねらいでした。
 

1・これまでの基礎体験活動の取り組みの実践を発表

まず始めに、これまでの基礎体験活動を通して学んだことを、4名の学生の皆さんに代表で発表をしてもらいました。以下、発表の概要です。

「様々な人との出会いとそこでの歌唱指導を通して学んだこと」

松奥三奈(芸術表現教育講座)

甘かった!歌唱指導に対する感覚

3年後期の実習セメスターで参加したミュージカル「愛と地球と競売人」の歌唱指導とI市の中学校での授業サポート(校内音楽会に向けての音楽の授業サポート)の2つの活動について発表した。

ミュージカルの歌唱指導では、歌唱指導ぐらいならと簡単に考えていた自分が甘かったことに気づいたこと、小さい子ども(5歳児)と50歳代の方への歌唱指導の違いに気づき一人ひとりに応じた対応を工夫できたことなどのエピソードを交えて発表した。

また、中学校の合唱コンクールに向けた歌唱指導では、生徒たちの中に入り込もうと積極的に挨拶をしたり掃除を一緒にしたりするなどして積極的にかかわることができたことから、指導を行う上で大切なことは生徒との信頼関係であるということを改めて認識した。

<発表に対する感想>
音楽専攻という専門性を生かした活動に取り組んできたことで、子どもや一般の方々とのコミュニケーションの取り方や一人ひとりに応じた指導方法などを学び、音楽指導に対する幅を広げていったことが伺える報告でした。

「地域の小学校で子どもたちと生活を共にする中で発見したこと」

清水千晶(初等教育開発講座)

2日間、子どもの担任として全てを任されて・・・

3年後期の実習セメスターで参加した2つの小学校での活動の様子を発表した。U市の小学校に教員宿舎で自炊生活をしながら2週間学校に通ったこと、その中で2日間、クラスの授業や生活指導全てを任された経験から、本当の教師の仕事というものに直に触れ、教師という立場から子どもたちへの対応や言葉遣いなどを学ぶことができた。

もう1校については、地域の老夫婦の家にホームステイをしながら地域の一人として子どもたちと一緒に学校に通う中で発見したことを発表した。

<発表に対する感想>
「地域と学校がよい関係を築くためには、まずは互いがオープンでなければならないと成り立たないのだということを改めて実感した。そして、地域を味方にした学校ほど強いものはないとこの小学校を見て思いました。」という感想が大変印象的でした。今、地域との連携や協働、開かれた学校づくりといったことが、大きな教育課題の一つにあげられますが、まさにそうしたことに対する一つの答えを見つけたのではないかと思いました。

「子どもとかかわるたくさんの経験からの叱ることと怒ることの違いを学びました」

         須山健太(共生社会教育講座)

   子どもの指導から自分自身の生活を振り返ることになり・・・

これまでの基礎体験での経験から、子どもを叱ること怒ることの違いやほめることの難しさを感じ、多くの経験をふまえながら子どもと接する中で、子どもが持っているそれぞれの性格や思考を考えながら、自分なりの根拠に基づいた対応ができるようになったことを発表した。

A中学校で通学合宿(公民館で生徒が自炊・宿泊生活を送りながら1週間、中学校に通学)の活動に参加したことを通して学んだ。

教育委員会の先生方は、子どもたちが生活に慣れるに従って、より多くのことを指導しておられたが、自分は生徒たちの生活を見てなにも改めることがないと感じ、なにを指導してよいのかがわからなかった。それは、子どもを指導する物差し(価値観)が教育委員会の先生方と自分では違うことに気づきショックであった。そして、そこから自分自身の生活ぶりを振り返るきっかけになり、指導者としての身の処し方に気づいたことなど、この通学合宿を通して自己理解が深まっていった。

<発表に対する感想>
この通学合宿を通して、本人は社会人としての自覚や教員としての資質に対する自己評価が下がったのですが、それは、自己理解が深まった結果であり、より質の高い自己目標設定のための学びであったと思いました。

「夢は、全国のボランティア団体との交流」

浜西 悠(心理・発達臨床講座)

自分自身の学びを後輩に引き継ぎたい!

1回生の時のSANボラステップアップinセミナーを出発点として、三瓶青少年交流の家の活動だけで500時間以上を積み上げてきたことから、自分自身が培ってきたものを中心に発表した。

さまざまな活動の企画運営にかかわる中で、徐々にリーダーとしての自覚と責任感が増し、自分自身の成長を実感すると共に、後輩への思いや願いを託すようになった。また、3年間の体験を通して、コミュニケーション力、企画力などたくさんのことを学ぶことができた。今は全国の様々なボランティア団体とネットワークを持ち、全国を相手に活躍できるようになりたいという目標をもってこれからも活動に参加しようと考えている。今後、1.2回生には自分たちが取り組んできたことをしっかりと引き継いでいってほしいと願っている。

<発表に対する感想>
三瓶青少年交流の家での活動を中心に体験を積み重ねてきたことから、リーダーとしての自覚をもち様々な経験を通して培ってきた自分自身の成長を、卒業後に社会人としてどう生かしたいのかということまでもイメージを持って発表しており感心しました。

特に三瓶での活動を通して、企画力が身についたと実感していた。司会者が「企画力とは様なことですか」という質問に対して「自分の思い描いたことをたくさんの人と協力して形にしていくことだと思います。」と答えたのが印象的でした。

2・体験発表を終えて(まとめ)

 それぞれが、これまでに基礎体験で活動してきたことをもとに自分自身の成長や新たな発見、今後の課題などについて発表をしました。自分自身が体験を通して学んだことを自分の言葉で語っており、とても説得力のある発表でした。聞いていた他の学生も自分自身の体験と重ね合わせながら真剣に聞いている姿が印象的でした。

3・アンケートによるまとめと振り返り

 4名の学生の皆さんの発表を聞きながら、自分自身がこれまで取り組んできた活動を振り返って、自己の成長と今後の目標などを確認するためのアンケートを行いました。それぞれが、活動を通して実感できた成長や自分の足りなかったことを一つ一つ振り返りながら真剣にアンケートに向かっていました。

4・これまでの基礎体験活動時間の確認

 今回のセミナーでは、個々のこれまでの体験時間の積算時間をグラフ化したものが渡されており、今後の活動の見通しを持つこともできました。

5・教育支援センター長(小川先生)によるまとめ

 最後に教育支援センター長の小川教授から、まとめとして学生に次のような話がありました。
「特に、音楽指導の発表からは、講義等において学習したことを実際に子どもに伝える過程を通して、さらに知識や技能を深めたこと、また、合宿体験発表において、子どもをみる視点に自分自身が投影されることに気づき、自己成長・深化の重要性に気づいたことなどは、1000時間体験学修がまさにめざしている点だと言えます。また、本日のセミナーのような、学生が自己活動を内省する構造化された機会を今後も充実させる重要性を再認識しました。」
様々な基礎体験での学びが学生にとって本当の意味での真正な学びになるための貴重な時間であったと感じた。