原広治先生講演会

平成18年12月21日(木)
 特別支援教育相談実習講演会(9:00~11:00)
 「特別支援教育、そして学校教育において考えること」
 原 広治 先生 (島根県教育委員会特別支援教育室企画官)

 3年生を対象に島根県教育委員会特別支援教育室の原広治先生(サポートマイスター)による講演が行われました。こ れは、本学部と島根県教育委員会の連携の一貫として、特別支援教育室からの申し出によって実現したものです。ご専門の特別支援教育の現状のみなならず、そ こからみえてくる学校教育において重要なこと、これからの教師にとって必要な視点などについてお話していただきました。
「特別支援」とは、結局は多様な集団を対象に「わかる授業」を工夫することだ、子ども理解には自己が投影されるが故に、自己の成長が必須だ、など心に残る 内容でした。様々な教育体験活動によって学生が自己を深化させることの重要性を再認識しました。また、ご自身のメール・アドレスを公開し、「わからないこ とがあったら遠慮せずにメールを」とおっしゃってくださいました。

 (講演の概要)

「特別支援教育」は、通常学級における支援から、学校内外の専門家・機関による支援までも含む広い概念だが、なにより担任による支援が支援連続帯での始発 点であること。また、これからの教師には諸専門家や機関と連携していく力が求められている。これら現状について説明されました。通常学級での支援は、個別 に適切な教育環境や指導法が工夫できることですが、それはまさに、多様な集団を対象に「わかる授業を工夫できる力」であることを強調されました。
また、多様な子ども像として、特に、メディア接触によって早期から育てられた現代の子ども像をあげ、子どもあるいは自己をみる上で重要な「暮らしの時代変化」という視点についても言及されました。
  さらに、「子どもをみるまなざし」が、特別支援教育のみならず、教育にとって重要だが、子どもをみる中に結局は自分自身が投影される。だからこそ、我々は、「自己を育てなくてはならない」という強いメッセージを学生に送られました。

(学生の感想例)

「これまでの特別支援教育に関する講義等でも同じ内容を勉強してきたと思うが、実習に行く前と行った後では、自分の中で意識が変わって来たのではないかと感じた。特別支援教育のとらえ方についてよくわかった」
「実習に行って一番感じたのは、授業を座ってうけれない子など、どのクラスにもいることだった。特別支援の問題は決して避けて通れないものだと改めて実感した」
「実習に行き、それぞれの子どもが何らかの困り感をもっているのもわかったが、今の自分にはそれを支える対処法を持ち合わせていない。もう少し勉強していきたい」
「一斉授業の中で、どの子にもわかる授業づくりをすることはやはり大切だったんだな」
「(実習中)プリントに名前しかかかなかった子に、実習生だと思って馬鹿にしているとか、授業聞いていなかった、とかいう否定的なものではなく、名前だけ でもちゃんと出せたとか、自分の説明が不十分だったとか、相手のできたところや自分の足りなかったところもみえてきた」
「子どもを自分の枠組みの中でみている。本当にそうだなと思った。自分の価値観を押しつけているのではないかと、自分を振り返った。私は教師になる希望は今のところないがとても役にたつ話だった」
「みるといことは、自分の内面と対話していることというのが印象的。もっと自分の内面を磨かねば」
「能力主義について、それが特別支援教育のみならず教育全体に影響していることに改めて考えさせられた」
「学校、教師、家庭、地域など、様々なものとの関係性が子どもの育ちに関わっている。子どものために、その全ての関係の中で協力していくことが大切だと痛感した」
「教師のうつや自殺など教師はつらいようなことをたくさん聞く、自分も・・と思うと恐い気がする。周りの人と連携をとっていけるようにコミュニケーション能力をしっかりと身につけていこう」
「これからの教師には、様々なこと・もの、そして人を見極める力や知識が必要だと感じた」