第4回だんだん塾講演会

学校現場では,いじめや不登校等様々な課題が山積し,学級経営が最近改めて重要視されています。近い将来,学校現場に出る学生の中には,どのような視点で学級づくりをしていけばいいのか,また教科指導以外の教員の仕事はどんなものがあるのか,不安に感じている学生が少なからずいるのが現状です。
そこで,今回の第4回だんだん塾では,小学校の先生をお招きし,「学校の1年間の歩み」や「教師の仕事内容」「学級経営」等,幅広い視点からご講演いただきました。

実施日:

平成26年1月29日(水) 14:30~16:00

場所:
教育学部25番教室
参加者:
40人

 

演題「学校の担任って何するの?

講師 矢吹 なおみ 先生(米子市立福米東小学校)

 

教員の仕事は,教科指導や教材研究,また自分が担当する校務分掌,さらには事務的な仕事等,多様で多忙です。そうした中でも,学校現場の主役である子どもたちが,生き生きとまた主体的に生活し,「この学級でよかった」と言える学級経営を担任はしていかなければなりません。今回の講演会では,「学校の担任って何するの?」というテーマで講演をしていただき,教師の仕事や学級経営について学びました。矢吹先生から教わったことについて,いくつか紹介します。
◆学級経営について
・学級経営案を年度当初に作成し,見通しをもって1年間学級の子どもたちを育てていくことが大切である。
・1学期の始業式からの3日間は「黄金の3日間」と呼ばれ,学級開きの際には工夫が必要である。
オリンピックに出場した水泳選手の写真とエピソードを紹介し,学級みんなの連帯感を高めた。
・学級目標には「子どもの願い」「教師の願い」「保護者の願い」が込められている。この学級目標を達成するために,学級での所属感や満足感を味わわせることが大切である。
・「行事で子どもを育てる」と言われるように,行事の時に子どもたちの気持ちを本気にさせることが重要である。そうすることによって,子どもたち同士をつないでいき,よりよい仲間づくりを形成していくことができる。
・子どもたちが頑張ったことを形(ビー玉貯金や読書シール等)にすることによって,自尊感情や集団への帰属意識が高まる。そして,子どもたちの歩みを教室掲示に活かす。
◆教師の仕事について
・春休み期間中は,事務的な仕事が多いので,仕事内容を一覧表にしている。
・4月の参観授業・学級懇談は保護者との初めての出会いであり保護者の思いや願いが聞ける貴重な場である。
・教員の1日はとても忙しいので,1週間のスケジュールをきちんと考えておくことが大切である。
・子どもたちは,保護者にとって宝物である。その宝物を預かっているという意識をもって,教師の仕事を全うすることが大切である。

 

 

   

【学生の感想】 

 ・講演を聞いて,矢吹先生が常に子どものことを考えておられ,一人一人を伸ばそうと心がけておられることがわかりました。「子どもたちは宝だ」「結果ではなく過程を大事にしたい」と言われたことが印象的で,子どもたちに寄り添い,心にやる気の炎をつけることをしておられるのではないかと感じました。 (初等教育開発 1年)

・学級経営を行う上で大切なのは,「所属感」と「自尊感情」という2つがキーワードだと感じました。矢吹先生の写真で見た教室の中には,その2つのキーワードを高める要素が溢れていました。普段何気なく見ていた壁の掲示物もこのような先生方の思い入れがあると思わなかったし,思いがこもった掲示物がある教室だと,子どもの心の成長が育まれると思いました。(美術教育 2年)

・今まで具体的に分かっていなかった教師の仕事を知ることができました。特に学級経営を行う中で,子どもたちのやる気を生む工夫がたくさん考えられていて,矢吹先生の思いを学ぶことができました。ビー玉貯金や学級のキャラクター・そうじ名人など,子どもたちが積極的に取り組める環境づくりの大切さを感じるとともに,教師になった時は参考にしたいと思いました。(初等教育開発 3年)

・教師の思いと子どもの思いだけではなく,保護者の思いも踏まえた学級目標にするためには,保護者との懇談をしっかりと行っていくことが大切であることが分かり,学校だけではなく家庭と連携しながら学級経営を行っていく大切さがわかりました。(初等教育開発 3年)

・教師のやりがいは授業のみにあるのではなく,学級経営にあると思います。学級経営について具体的に話をしていただき,とても参考になったし難しさも感じました。今後採用試験の勉強をするだけではなく,今日聞いた話を思い出しながら,想像力と創造力を兼ね備えた教師になれるように頑張っていきたいです。(初等教育開発 3年)

・今まで何度も模擬授業を行ったり,教育実習の中で授業実践を行ったりしてきました。しかし,学級経営となるとまた別ものです。私は少人数学級で育ってきたので,きちんと一人一人を見ることができるか心配です。授業は学級経営の上に成り立つものなので,まずは,そこをしっかりとしなければならないと考えています。 (初等教育開発 4年) 
・講演を聞いて一番に思ったことは,矢吹先生の思いの強さです。「子どもにどうなってほしいか」「何を感じてほしいか」「どんな学級にしたいか」といった『ぶれない芯』を強く感じました。また,「がんばったことを形に」という言葉も印象に残っていて,実践例もたくさん聞くことができたので,現場では自分なりのアレンジや子どもの考えなどを加えながら,学級づくりをしていきたいと思いました。(言語教育 4年)