第5回だんだん塾講演会

実施日:
平成23年2月15日(火) 14時30分~16時00分
場所:
教育学部棟 5F 多目的ホール
参加者:
49名
講師: 山陰放送アナウンサー  山根伸志 先生

「自分の考えや思いを言葉でどう表現するか」

 基礎体験活動の事後指導において,「支援する子どもたちや共に活動する学生スタッフに対して,自分の思いや考えをうまく伝えることができなかった。」というような反省がよく聞かれます。このような状況を踏まえ,第5回だんだん塾では,現役アナウンサーより表現力を高めるための術を教えていただき,学生の表現力の向上につなげたいと考え企画しました。

 講師には,テレビ・ラジオ番組の取材やパーソナリティーを日々実践しておられる立場から,山陰放送の山根伸志アナウンサーをお招きし,「自分の考えや思いを言葉でどう表現するか」について多様な視点からご講演いただきました。
  参加した学生の多くが,表現力が乏しく自分自身の思いや考えをどう整理し,どう表現すればよいのかという課題を持っていました。また,教員採用試験や就職試験を数カ月後に控えた3年生も多数参加していました。
  今回の講演を通して,参加学生は自分の考えや思いを相手にわかりやすく伝えるためのテクニックや心がけなどを多く学び,課題に迫る糸口がつかめたのではないかと思います。
  山根先生から教わったテクニックや心がけについて紹介します。

≪話し方のポイント≫

○長く話さない

 ・話し手と聞き手のギャップを埋めるには,話は端的に短く

 ・NHKテレビ番組「プロジェクトX」のナレーターのように

○短いセンテンスでインパクトを与える

 ・テレビコマーシャルは20秒

 ・ラジオコマーシャルは15秒

 ・芸人のネタのように

○与える情報の取捨選択

 ・情報量を増やせば増やすほど混乱を招く

○「予告する技術」を活用

 ・例えば「2つの相談事があります」「大切なことを3つ言います」など,伝えたいことの  内容や数などの予告をする

○五感に訴える

 ・動きが描写できるような,語りを工夫する

 ・情景を表す色を付ける 

※山根先生に,真夏の高校野球の試合を想定した実況中継をしていただきました。声を聞くだけですが,バッターの打った白い球が,青い空を背にして遠くに飛んでいく情景が目の前に広がりました。まさに五感に訴える語りであり,さすがプロの実況だと痛感しました。

≪日常の心がけ≫

○毎日,3種類の新聞を読む 

 ・伝えたいことを,社説として決まった字数で要約する

 ・例えば,天声人語(朝日新聞)を100字で要約する

○思いを伝えるための抑揚と滑舌

 ・いくら良いことを言っても,滑舌が悪く伝わらなければもったいない

 ・抑揚と滑舌は,日頃から心がけ努力しなければ上達しない

○“自分が世界一”だと思い込む

 ・面接などのあらたまった場では強く思い込み,自信をもって話す

 ・下読みは世界一下手なアナウンサーと思って,本番は世界一上手なアナウンサー   だと思ってやっている

―学生の感想-

○山根先生のお話では,言葉の一つ一つが明確にこちらに届いて来るのを感じた。言葉の選び方,文章の組み立て方,表現の仕方など,どれほど聞き手を意識して話しておられるのかが伝わってきた。 (3年国語教育専攻)

○私は思いを伝えようとしても上手に話せない,語彙が乏しいなど,様々な課題をもっている。山根先生が学生時代にやっておられた,新聞を読みその内容を100字でまとめることを,私もやってみようと思った。そして,継続することで話す力や文章をまとめる力を付けていきたい。(3年初等教育開発専攻)

○高校野球の実況を聞いた時は,本当にすごいなと思った。情景がイメージしやすかったし,その場のはらはらした空気までしっかりと伝わってきた。自分も,感動したことや発見したことを相手にイメージさせ,同じような感動を伝えられるようになりたいと思った。そのためにも,今回教わった話し方のポイントや滑舌の練習を効果的に活用して,就職に向けてだけでなく,普段の生活にも生かせるようにしたい。(3年心理・臨床専攻)

○集団面接の練習の際,「表情がない」「話し方が同じ調子で,内容が残らない」という課題が明らかになっていた。その課題を解決するための手がかりを得たいと思い,だんだん塾に参加した。印象的だったのは,「話す時は自分が世界で一番だ」という気持ちで話すということだ。さらに,「自分のことを知っているのは自分だけで,それを伝えられるのも他ではない自分だ」という言葉に励まされた。(3年初等教育開発専攻)