平成27年度 第10回FD研修会を開催しました。

平成27年度 教育学部 第10回FD研修会を開催しました。

 日 時 : 平成28年2月17日(水)17:00~18:40
 場 所 : 教育学部棟212研修室
 題 目 : -教科内容学研究 -教科専門教育の役割について-
 出席人数: 11名
 
 今回のFD研修会は、「教員養成学部・大学院における教科内容領域の再定義」プロジェクト主催の研究会として実施されました。当プロジェクトが取り組む教科内容領域研究の一環として、教科内容学研究に基づく教科専門教育内容について、3名のプロジェクトメンバーが報告し、意見交換をしました。
 まず新井知生教授から「教科内容学研究から見た『教科内容構成研究』の問題点」と題した報告がありました。内容は、教科内容学の定義や基本構造等を概括した後、そこから「教科内容構成研究」の特徴や位置づけを整理し、その問題点が、教科内容の原理や構造について組織的な構築がなく、教授法の共有がされていない点にあることの指摘がありました。
次に「国語科における日本古典文学教材と教科内容学研究-『さつき待つ花橘の香をかげば』の読解をめぐって-」と題した報告が福田景道教授からありました。中等教育の国語科における日本古典文学教育(「古典(古文)」)が「親しめない」という難点があることについて、教科内容学の立場からこれを克服する考究の報告でした。まず、「教科専門」によって文学史と研究史の蓄積による作品の真意の解明と、それに基づいた「教科教育」による教材の形成を概説した後、それを踏まえて、文学史・研究史から逸脱しない範囲で、作品の価値や奥深さを感得・発見させる一過程を例示する授業-「教科内容学」-によって、学習者が「古典に親しむ」方向に導かれることにより、教科内容学が役割を果たすとする内容でした。
 最後に槙原茂教授からは「ヨーロッパにおける『歴史』教科の教員養成 -「専門教育」と「教職教育」の関係を中心に-」と題して、ヨーロッパ33か国において行われた、歴史教育・シティズンシップ教育に携わる教員養成に関するアンケート調査に基づき、教育課程に関する調査結果を中心に紹介がありました。結論として教員養成独自のカリキュラム開発が見られるものの、アカデミックな専門教育の修得を前提とした教員養成が主流であるとの報告でした。
 その後、卒業研究と教科内容学との関連についてなどの活発な質疑応答があり、参加人数は少なかったものの、貴重な研修の場になりました。