令和4年度 第20回教育学部アカデミックカフェを開催しました

公開日 2022年08月03日

「第20回 教育学部アカデミックカフェ」を開催しました。

 

1.発表者      橋爪一治教授

2.日 時        令和4年7月27日(水)17:00~18:00

3.方 法      同期型オンライン

4.題 目      テクノロジーの中の技能

 

 今回は,技術科教育・生体工学がご専門の橋爪一治先生に,テクノロジーを用いた技能の教授や伝承について,2021年度のサバティカル研修の実績を含めてお話しいただきました。

 まず,ディスグラフィア(書き障がい)をはじめとするすべての児童が,小学校で新しく導入された外国語科で英字を書けるようになる指導法を開発するために,健常な児童がどのような書字動作の巧緻性を有しているのかについてタブレットやアプリ,力学デバイスを用いて調査・分析を行った結果を解説されました。そして,英語科や特別支援を専門とする本学部教員等と連携して,力学デバイスを用いたディスグラフィア児童への英字を書く指導方法を提案されました。

 続いて,伝統建築等を支える匠の技のモデル化とその指導法の確立について,ノコギリやカンナといった大工道具の使い方を種々のセンサーを用いて信号処理をして,熟練者と初学者間の相違点を明確にしたところを丁寧に説明されました。

 最後に,カンナの歴史を紹介され,一般的な引いて使うカンナと韓国にわずかに残っている押して使うカンナについて,使い方や技能の定量化を行った結果から,引きカンナが一般的になった理由を考察されました。

 発表後の質疑応答においては,書字動作解析の健常児への応用に関する質問や教育実践の効果,カンナの歴史に関する解釈などの質問が出されて,非常に有意義な内容の議論・意見交換の機会となったように思います。また,それぞれの研究は科研費や二国間交流事業の成果を多数含んでおり,外部資金獲得に関する参加者の意識も向上したのではないかと思います。