地域の未利用資源を活用した地域の特産品開発ならびに食育における教材開発

( 2016年度)

プロジェクトの名称 地域の未利用資源を活用した地域の特産品開発ならびに食育における教材開発
プロジェクトの概要  近年、地域経済の活性化や地域創生の切り札として、地域の未利用資源に注目が集まっている。島根県内には、出雲国風土記に記載されている山野草や薬草が多く生育しているにも関わらず、そのほとんどは活用されていない状況にある。
 また、学校教育においても、身近に生育している山野草を観察したり、その活用方法を考えたりすることは、自然の恩恵を体感したり考えたりする良いきっかけになり、食育活動、理科や食教育の教材としても有効と考えられる。
 そこで、本プロジェクトでは、出雲国風土記に掲載されている植物を用いて、地域の特産品開発ならびに食教育における教材開発につなげることを目標とした。本プロジェクトには、基礎体験活動を活用し、本学部人間生活環境教育専攻の学生にも積極的に参加してもらい、高齢化が進む本県の地域課題を知り、企業や製造現場の方々とともにその課題解決に向けて活動を行った。
プロジェクトの
実施状況

 本プロジェクトでは、地域の特産品開発ならびに食教育における教材開発につなげるために、以下のことを実施した。
1) 山野草・樹木の機能性評価
2) 山野草・樹木を用いた地域特産品開発の支援
3) 山野草・樹木を用いた健康茶の教材開発研究

1)山野草・樹木の機能性評価
 出雲の薬草探求会といちじくの里多伎きらりプロジェクトの協力を得て、約40種類の山野草、薬草のポリフェノール含量と抗酸化性について検討した。著しくポリフェノール含量と抗酸化性が高い植物を見いだすことができたため、今後、詳細に解析する予定である。

2)山野草・樹木を用いた地域特産品開発の支援
 現在、ヤマモモ葉は薬草茶に利用されているものの、そのほかの食品には活用されていない。そこで、山野草や薬草等をパウダー化し、それらを用いた食品開発を行った。クッキー、ケーキ、わらび餅などを試作し、平成29年1月26日に、関係者を招いて島根大学にて試食会を行った。この際の様子は、山陰中央新報に掲載された。また、3月22日には、講演会にて関係者に分析の結果報告を行った。

3)山野草・樹木を用いた健康茶の教材開発研究
 ヤマモモ葉茶について、製造工程が機能性成分や味に及ぼす影響について、詳細に検討した。蒸し、焙煎の温度、時間を工夫することで、抗酸化性が高く、飲みやすいお茶にすることが出来た。

 本プロジェクトは、単なる研究にとどまらず、地域自治体や企業と連携して地域の活力向上に貢献することを心がけた。また、本活動は、島根大学のCOC+事業の掲げる地域連携・貢献の遂行に合致する取り組みであった。
 豊かな環境で育ってきた園児~学生たちは地域や食文化を大切にする心や、自然への感謝の念が希薄化しているように感じられる。これらのことは、食育推進上での問題点である。今後は、今回得られた研究成果を地域の教育現場へ伝えていきたいと考えている。

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研究組織
所属・職 氏名 専門分野
島根大学教育学部・准教授 ○鶴永陽子 食に関する教育、食物学
島根大学附属中学校・教諭 青木佳美 中学校家庭科教育
島根大学 産学連携センター 客員教授 山崎幸一 産学連携
いちじくの里多伎きらりプロジェクト・会長 鳥屋尾晋  *いちじくの里多伎きらりプロジェクト:出雲市地域主体型コミュニティビジネス構築事業費補助金を受けて、活動中
いちじくの里多伎きらりプロジェクト・副会長 石飛なす子
本プロジェクトにより期待される効果
(成果の公表方法を含む)
  • 地域の特産品開発を通して、島根県内の地域活性化につなげることができる。
  • 未利用資源を用いて、失われつつある地域や食文化を大切にする心や、自然への感謝の念を再認識する食教育の教材開発が可能となる。未利用資源を用いた教材開発の例は少なく、先駆的取り組みとして県内外へ発信できる。
  • 山野草・樹木の機能性データについては、学術論文に投稿するとともに、マスコミ等を活用し、県民に情報発信する。
  • 本活動をもとに、地域の資源を基盤にした産官と大学との交流がさらに深まり、当大学における地域の教育研究拠点としての役割を、県内外に広くPRできる。