現職教員研修の高度化・体系化を実現する大学と教育委員会の協働プロジェクト

( 2011年度)

プロジェクトの名称 現職教員研修の高度化・体系化を実現する大学と教育委員会の協働プロジェクト
プロジェクトの概要

本事業では,現職教員研修の高度化・体系化を目指して,島根県教育委員会と連携して概ね,次の4つの事業を展開する。(学部主管組織:教師教育研究センター)


1.島根県教育委員会との「連携協議会」を活用し,大学・行政の専門スタッフによる「現職教員研修プログラム開発・実施プロジェクト」を立ち上げ,本事業の中核組織を構築する。


2.学校教育における幹部教員及び指導的教員の育成を目的とした研修プログラムを開発する。前期・後期の2期(計4週間),前期はベーシックコース(2週間),後期はアドバンスコース(2週間)の研修を計画。


3.大学及び島根県教育センター施設を活用した「現職教員パワーアップ講座」を開催,「主幹教諭・指導教諭」に必要な資質・能力の向上プログラムを提供する。


4.上記プログラムに本学部学生・大学院生の参加を促し,現職教員との交流を実現する。(参加学生は,1000時間体験学修の時間として認定)

プロジェクトの
実施状況

1.平成22年度に引き続き,平成23年度初めに島根県教育委員会との協議会・打合を開催し,2期(11月,2月)各2週間で計4週間(平成22年度は2週間),協働による「現職教育研修プログラム開発・実施」の事業が決定された。


2.平成23年11月7日(月)~11月18日(金)および平成24年1月30日(月)~2月10日(金)の2期4週間,島根大学教育学部多目的ホールや研修室等を会場として「現職教員研修」を開催した。


3.小学校,中学校,高等学校,特別支援学校および教育センターから,主幹教諭・指導教諭クラスの19名の参加があり,講義は本学の教員を始め,文部科学省や国立教育政策研究所,他大学,島根県教育委員会及び学校長等から招聘した講師が担当し,計120時間のプログラムを実施した。


4.11月7日(月)には開講式を行い,伊藤教育学部長(兼:教師教育研究センター長)から本研修の目的と意義が述べられ,三島島根県教育センター所長から本研修の成果に期待する旨の挨拶があった。


5.前期11月7日(月)~11月18日(金)においては,主にスクールマネジメント及び重要な教育課題に関しての講義がなされた。それを受けとめつつ,受講生同士の意見交換や前期と後期の間(学校現場)における課題設定のための自己研修のコマを設けた。さらに,島根大学教育学部学生と学校現場・教員との積極的な交流,学び合いの機会を設定した。


6.後期1月30日(月)~2月10日(金)は共通研修とコース別研修とに分けて,コース別研修は「マネジメント上級コース」「教科指導・理科コース」「特別支援教育コース」の3つグループに分かれた。それぞれ専門分化した講義や演習,活動を中心とした研修が実施された。(自主研修で空いている時間帯で他のコース研修講義を受講することは可能。)各コースにはアドバイザーとしてセンター教員があたり,後期での自己の研修課題を設定することとした。


7.今年度のプログラムも,昨年度と同様,「スクールマネジメントの実践的課題―学校の現代的課題を解明するー」をテーマとして実施された。学校教育の指導的立場となるべき現職教員にとって,最新の理論に基づく新たな教育課題の発見と課題解決に資する資質能力の高度化が必修の研修課題であると考えられることから,このプログラムは,大学と行政とが協働して比較的長期間にわたって実施することにより,これらの課題への対応の促進を図ろうとするものであり,こうした試みは全国的にみても先進的取り組みであることから,今年度の実施課題を踏まえ,また,受講者の意見,感想等を反映させて充実を図り,次年度への継続が要請される。

研究組織
所属・職 氏名 専門分野
教師教育研究センター長 ○伊藤 豊彦 スポーツ心理学
教育支援センター長 境  英俊 運動学
教育学部教授 権藤 誠剛 教育方法学
教育学部准教授 金子 泰久 教育行政・教育政策
教育学部講師 塩津 英樹 教育哲学・教育思想
(連携先)
島根県教育庁教育監
花田 英治 地方教育行政
島根県立教育センター長 三島 修治 同上
島根県立教育センター教育企画部長 飯塚 裕司 同上
島根県教育委員会義務教育課長 矢野 英明 同上
島根県教育庁義務教育課グループリーダー 領家 芳明 同上
本プロジェクトにより期待される効果
(成果の公表方法を含む)

本研修講座の開催は,地元県教育委員会と教育学部が現職教員の研修に「共同」で「協働」して取り組み,しかも前期と後期に分けて,それぞれに特色あるコースを設け,比較的長期にわたる集中研修の中で高度な専門内容を習得することを目的にした先進的な取り組みであり,受講生(主幹教諭・指導教諭クラス)が習得した内容も,学校マネジメントを主軸として,理科指導,特別支援指導における高度な実践的力量形成に資するものがあった。

研修修了生が学校現場等で研修内容を実践し深化させて,現場等の中核,ミドルリーダーとして活躍が図られることで,それらが現場等へ波及し今日的な課題の改善・解決,学校教育の高度化に対応,貢献していくことが大いに期待されるところである。

本事業は,教師教育研究センターを主管として平成24年度以降も地元教育委員会・県教育センターと共同で実施することとされており,今後の教育学部に期待される役割,機能の拡充,高度化,修士化を考える上でも大きな成果が得られた。

平成24年度の本研修講座の実施については,教育委員会・教育センターとの3月の協議・打ち合わせにおいて検討され,平成23年度の反省を踏まえての変更・改善及び後期の理科コースが国語コースに変更は予定されているものの,基本的には平成23年度の研修内容での実施が見込まれている。また,これを契機として,教育委員会・教育センターと教育学部との多くのチャンネルでのさらなる連携強化が検討されることとなった。

 

【中堅の現職教員を対象にした「スクール・マネジメントの実践的な課題」を中心とする研修プログラムの開発報告書】