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平成17年度 FDフォーラム

「学部教員間の協同によるカリキュラム改善へ向けて」

平成17年11月30日(水)
                                於:教育学部第一会議室

第2部 授業公開について
縄田:
(司会)
ここからは、先週行われました、授業公開に関するフォーラムという形で第2部を進めさせていただきたいと思います。先ほどの高岡先生のお話にありましたように、今回の「教員養成GP」の事業の中に「新たな教育領域の創造による授業開発の促進」という事業が含まれておりまして、先週行われた授業公開は、それとの関連で企画されたものであります。
これに関しましてまず、河添先生の方から授業公開の実施報告という形で概要と趣旨の説明をお願いしたいと思います。
河添: それではFDプロジェクト、およびFD戦略センターの一員として、また、授業公開を企画したメンバーの一人として報告を行いたいと思います。特に授業公開の意図等について、ご説明をいたしたいと思います。今、高岡先生の方からご説明がありましたように、私たちはGP申請に向けて学部のあり方、教員養成専門学部として、目的養成学部としてのミッションを見据えながら授業公開のあり方を検討してまいりました。
今回の取り組みと報告という本題に入る前に、これまでの我々教育学部授業公開について少しだけ振り返りたいと思います。従来、私たち島根大学教育学部のFD活動、とりわけ授業公開分野、これについては全国的にみても先行例として高い評価を受けてきました。かつて廣兼先生、それから縄田先生と、京都大学大教センター主催の「大学教育フォーラム」へ出かけられて、本学部授業公開の取り組みについて報告をなさいました。特に昨年度末は縄田先生が招待を受けて総括講演ということで、大学教育フォーラムの最後に、会場が超満員になるような形で島根大学の教育学部の授業公開、および検討会によるFDの実践を発表されました。

それらを少し振り返りますと、当時そのFD活動導入を決定した教授会、あるいは大学審答申、それに伴う設置基準の一部改正等によって謳われ、外圧的に始まったわけではありますけれども、私たちの授業公開の取り組みは、初年度は模範演技型という形で数名の方が公開された。これは「非日常のコンテクスト」と縄田先生は位置づけられております。それが、次に全員公開型へと変わっていく、それを同様に「平等主義のコンテクスト」と位置づける。それから昨年度のように有志企画型と様々なT.T.の企画であるとか、このようなもの出していただいて、これを「自主性のコンテクスト」であると。このような歴史をたどって来たわけです。本学部では、約半数以上の先生方が授業公開に携わって来ました。これはおそらくひとつの組織、学部としては全国的にほとんど例を見ない大人数の授業公開が実施されてきたということになると思います。縄田先生の発表では、次にどのような公開のコンテクストが考えられるのか、を提案なさいました。それは、「恒常的な相互研鑽」、つまりピアレビューというものを恒常的にやっていくという、そういう形を今後は目指すべきであるという風に縄田先生はまとめられた訳です。

ですから、そのような形で私たちも今回の授業公開というものを考えました。前年度、検討会もやったりして、京都大学の方式を島根大学方式にアレンジした島根大学の歴史上初の授業検討会も行ったのですが、それで今年度どういうことを私たちは考えたかといいますと、今お話したように、ピュアレビューの恒常化というものが大前提ではありましたけども、同時に教員養成GPの申請が、私たちの学部のミッションというものを深く考える機会ともなった。であるならば、これはFDプロジェクトからFD戦略センターへ引き継ぐ最初のFDの仕事になっていくということを考えたときに、当然そことのリンクということを強く意識する、ということが私たちの基本的なスタンスでした。つまり、今、高岡先生がお話になったように、それぞれの柱、四本の教育学部の柱(教職・教科教育・教科専門・体験活動)がある。これまで、学生にゆだねていた「その間(はざま)の統合」を、私たち学部教職員自身が意識的に考えていこうという、GP申請の主旨に則った授業公開のあり方を考えてゆこう、ということです。

具体的には高岡先生の資料の二枚目にありましたように、FD戦略センターが推進する3つの領域、「教員と学生との協同」、それから「地域社会と学部との協同」、「学部・教員間の協同」という、いずれも協同というキーワードで、多少これまで意識がそれほどは強くなかったかも知れないけども意識的にそういうことを共同していって、組織力の向上につなげていこうと。ここの着眼点と私たちの授業公開というものをリンクさせていくということをまず考えたということです。

そこで、その3つの領域にかかる協同のどの点に着目しても良かったのですが、今回は、先ほど高岡先生も力説されたように、私たちのこのGP申請の目玉が教員間の相互研鑽であり教員同士で資質を向上させていく、まず、そういうところに着眼点があるということ、教員同士で互いに協同し、教師教育者としての自覚をきちんと持とう、ということですので、その領域に着目して授業公開を考えました。つまり「学部教員間の授業改善に向けた協同」に注目し、その中でも事業4に謳われている「新たな教育領域の創造による授業改善の促進」というところ、ここに位置づけて授業公開を企画したわけです。それで、現在すでに行われている学部内での教員間での協同、それはT.T.方式が多いわけですけれどもそういう先行例について授業公開をしていただき、本センター推進事業の一環としての事業でありたい。さらに、そういう選考例を授業公開という形で学部構成員が実際に参観できるということで、このGPのイメージを、より具体的に思い描けるようになるのではないか、という効用も考えました。

そこで、まずどのような先行例が本学部内、学部教員間で行われているのかリサーチし、初等教育開発講座の学習者研究、教材とカリキュラムの研究、授業実践研究等や、教育支援センターでの基礎体験領域であり学校教育体験領域であり、また臨床心理カウンセリング体験領域等では非常に先行的なコラボレーションが行われている、ということを把握しました。その中で、初等教育開発講座というこれまで学部になかった講座として組織され、勉強会も定期的に開いて協同の授業を実行されている、初等の協同授業例を公開していただくことにいたしました。この授業を我々が参観することで、今後歩むべき「教育学部全体の協同」の姿をより具体的にイメージできるのではないかとも思ったのです。

それで先月二回に渡って実施しましたところ、20数名の参観者の先生方おいでいただきました。後ほどまたその感想等は配布されるのではないかと思いますが、そのような形で、最初に戻りまとめますと、授業公開を今回は、模範演技型から全員公開型、有志企画型、その次には、教員養成専門学部としてのミッションをいかに果たしていくか、その資質をいかに向上させていくか、そこに目を向けた検証と評価、アセスメントとエヴァリュエーションを重ねていくための土台としての授業公開であったということを明確に位置づけ、FD戦略センターの第一発目の事業としてきちんと行いたいというのが趣旨でありました。

以上その意図的なものと、この授業公開を行った簡単な経緯、概略等をお伝えいたしました。この後は授業公開者の初等教育開発講座方からご報告を頂きたいと思います。
縄田: ありがとうございます。今の河添先生のご報告につきまして簡単な質問であればお受けできますがいかがでしょうか? よろしいでしょうか。では河添先生ありがとうございました。

続きまして初等教育開発講座における授業公開で行いました「学習者研究1」と「教材とカリキュラム1」の実施につきまして川路先生のほうから説明を頂きたいと思います。
川路:

実施報告ということだったので、河添先生がどんな授業をしましたということを事細かく説明してくださるのかと思っておりましたが、経緯のことばかりでしたので、まず、どんな授業を公開したのかを、少しだけお話をしたいと思います。先週の火曜日と木曜日ですね、私ども初等教育の方で行っています「学習者研究」と「教材とカリキュラム」という授業をご覧頂きました。

シラバスをご覧頂くと二つの授業が一緒になっているように思われるのですが、後ほどご説明いたしますけども、小学校みたいにですね、あるいは中学校もそうですけど、例えば週に3回数学の授業があるとか、そういうイメージなのです。
要するに初等の授業でこういうことをやる授業が週に2回あるというイメージ作りをしたいと。だから15回の授業を2つに分けていろんな先生が入れ替わり立ち代りやるというのではなくて、週に2回初等の専門の授業があるというようにしたくて、15回と15回足して全部で30回授業をした、ということになります。

授業公開でご覧頂いたのは、国語の部屋と算数の部屋です。学生が火曜日の方で模擬授業をし、木曜日の方で模擬授業について協議しました。国語のほうは2グループが授業をしましたので30分ちょっとぐらいづつ授業協議会をしました。算数の方は3グループでしたので、それぞれ20分ちょっとぐらいづつで授業協議をしました。それも基本的には授業をした学生さんが前に並んで、グループで5〜6人なのですが、司会と授業をした人が授業について話して、子ども役をした学生がコメントをして、その後フロアから授業に参加した学生への自由な意見を出すという形で。最後に担当教員がそれぞれ3名ついておりますので、それについてのコメントをするという形で2回の授業が行われました。後ほど質疑応答もあるそうですのでそこらあたりで是非参加された先生方のご意見もお聞きしたいなあと思いながら、この初等教育開発講座におけるカリキュラム改善というところのお話に入って行きたいと思います。

実は今回この話がありまして、いろいろ資料を探っておりましたら、2003年の11月10日という資料が出てきました。今からちょうど2年前の、ですからまだ新入生が入っていない状態の時の資料ですね。新たに初等教育開発講座という組織ができました。教員もこんな数になりました。だけどまだ初等教育開発の学生がいない。今度入試があります。初めて学生が入ってきます。授業・カリキュラムはできました。それを履修の手引きや開講科目一覧に載せないといけない。その時に初等では「学習者研究」の1・2と、「教材とカリキュラム」の1・2・3と、「実践研究」1・2というのを新たに作りました。作ったのはいいのですが、中身で何をやるかということはその時点では特に固まっていなかった。正直申しあげますと、初等教育開発講座というのはいろんな講座から先生方が集まってできた講座ですので、それぞれ、それまで所属していた講座のやり方というものもあるでしょうし、かといってそういうものの寄せ集めを初等でやればいい、ということにもならないということで、初等教育開発講座で学生さん55名、その当時上限55名でしたので、その学生さんを受け入れるにあたって、やはり初等としての専門性というものをきちんと私たちが作っていかないといけない。なんとなく寄せ集めでやっているのではないだろうかという風に学生にもとられてもいけませんし、学部内の先生方にもあそこは小学校の免許を出すだけの講座だ、というふうに思われてもいけない。やはり初等ならではの専門性というものをきちんと作らないといけないということで、現行の講義科目を最初に作ったわけです。中身はこの後2年あるから、追々考えて行こうということで、いろいろ研究会もしました。

2年前の11月10日の時点では、55人という人数はやはり多いので、半分ずつに分けるとして、それを科目の1と2にあてようと。という風に考えて、1と2。次に、途中で教員が入れ替わったりしながらやっていってはどうだろうかと。では今度は「教材とカリキュラム」の1と2はどんな風にするのだ? 実践研究はどう色分けをするのか? などなど、いろんな意見が出てまいりました。この当時は1というものは学習者研究の教材とカリキュラムを教科でやって行こう、国語とか算数とか言う教科で。

2の方は今盛んに言われる教科融合型の内容でやって行こう。3というのは総合的な学習の時間を、今度総合演習というのがまた形が変わりますし。などというのが、メモとしてここにございます。それ以降、初等教育の方では、新しい学生さんを引き入れて、新しい科目を実際に始めているのですが、まだまだバタバタしている状態で、特にこの「学習者研究」と「教材とカリキュラム」をどう具体的に行ってゆくのか、という議論で頓挫しているところがありました。そういう状況の中、「小学校授業実践力育成プログラムの開発」ということで、今年度の学部長裁量経費に応募することとし、初等教育開発講座の中でプロジェクトチームを作りまして、プロジェクトを立ち上げました。首尾よく学部長裁量経費をいただけることになったと思うのですが、ここで私どもといたしましては、授業構想力、授業展開力、授業評価力というような名目で学生に配布する一覧表を作ろうということで、今共同して作成していて、実習の前でこういう表を各教科から出してもらっています。

これは、たまたま廣兼先生の書かれた現在作成中のものですけれども。これはまだ最初のころのものですが、例えば授業内容の分析で教育実習に行く前の段階で、こういうことを理解しておかないと実習にはいけない、というようなことを(初等の)教科ごとに作ります。これを、何回も何回も学習会を重ねて、その結果として、すべての教科に当てはまる内容と各教科それぞれ独自のものとの二本立てで行こう、ということになっています。これを学生に配ることによって模擬授業やそういったものが、あるいは教育実習に行くまでにこういうことができるようになっていないといけないという、「フレームワーク」と初等のほうでは呼んでいますけれども、そういうものを作っていこうという動きが今年度早いところから起こっています。今、私どもが行っている「学習者研究」と「教材とカリキュラム」というのは、これ(「フレームワーク」)を上手に使えるような授業にならないだろうか。この、学部長裁量経費で印刷している、こういったものを授業の中で生かしていけないだろうか、というようなことを色々今年度に入って、実際に後期から授業が始まるときにまた模索をしようと思っています。

正直申し上げまして、今回の先生方にお配りしたシラバスが決まったのが、9月のほんとに始める直前ぐらいで、それまでずっと議論しておりました。当初から、FDの研修会だからというわけではないのですが、やはり1人の先生がこれだけのものをやるというのはまず無理があるだろう。では、オムニバス形式で先生が入れ替わり立ち代りやってきて何か好きなことを話して、というのではそれでは初等の目玉にもならないだろう。そうすると何か皆さんでT.T.あるいは何かみんなで共同しあいながら、教師も共同しあいながら、学生も共同しながら授業を進めていける方法というのはないだろうか、ということを考えてきた。それから先ほど申しましたように、15回と15回の二つからなる授業をリンクさせて、合計30回という考え方で授業を運営していくことはできないだろうか?

このような内容の検討をすることが、初等講座内のカリキュラム担当の私に課せられた課題で、いろんなパターンを先生方にメールでお送りして、ご意見を頂く、という作業を繰り返しました。
当初は、やはり1と2があるので2つに学生さんを分けてやっていったらどうだろうかとか、あるいは副専攻で1とか、また、例えば学習者研究と教材とカリキュラムというのが火曜と木曜にあるのですけど、学生によっては火曜しか取れない学生が出てきたらどうしよう、副専攻と木曜日が重なっているので取れないという学生が出てきたらどうしようだとか、いろんな学生の履修状況も勘案して考えました。例えば理科の実験の授業がどうしても重なっているけど、だけど今これ取るのと4年でとるのとほとんど変わらないからこっちを優先しなさいとか、いろんなことを学生に、その時間割を見ながら相談・指導をして、結局55人全員が火曜と木曜を同時に履修するパートができるような履修指導もいたしました。それで55人が無事二つの授業取れるということで、この28回のシラバスが可能となったわけです。

「学習者研究」につきましてはやはり小学校を中心とした教員を育てますので、小学生っていったいどういうものの考え方をするのか、あるいはどういう発達をするのか、ということについてきちんと学生に理解させないといけないだろうと。ただこれを15回やっても、それこそいろんな先生がやってきて入れ替わり立ち代り、数学ではこう、理科ではこう、図工ではこうって話になってしまうので、今年度は、シラバスに二重線が引いてあるところですが、授業構造に三つのセクションを作って、第一セクションのところに学習者研究の内容を入れ込むと。10月の早い段階で、作った私の責任もありますので、オリエンテーションをするとその週の木曜日にはもう私が学習者研究として、図工という教科から見た子どもの発達をやろうと。その次に幼児教育の田中先生に幼児教育の認知と情意についてお話いただく。田中先生からは、幼児の副専攻の学生さん、だいたいこんな話聞いてるんだけど、というお話があったんですけれども、いやそれは初等の中でも20人に満たない数です、と。
 
縄田: どうもありがとうございました。時間を守って頂きましてありがとうございます。
それでは質疑応答のセッションに入りたいと思います。今報告いただいた内容は、新しい講座で、教員間での協同によって新しい領域を作っていこうというまさにFDの先駆的な取り組みであると感じたわけですけれども、皆様の方から今のご発表に対して何か質問等があればよろしくお願いいたします。今回のこのフォーラムは、今後各講座でこれと同じような新しいカリキュラム開発の取り組みをしていただく際の参考になればということで開いておりますので、どうぞ遠慮なくご質問・ご意見等いただければと思います。特に当日、授業にご参加になった先生方、何か授業をご覧になっての感想等ありましたら是非お願いしたいと思います。
肥後: 大変先進的な授業のやり方を2回に渡って参観させていただきまして、ありがとうございました。あれだけの人数の先生方が毎週同じ時間に出られるというだけでもすごいことだな、という風に思いました。また、単にその場に居合わせるというだけではなくて、一つの計画的な指向性の下の参加である、ということに付いて、やはりそういう努力していかなければいけないなと感じました。
  細かいことをいろいろと聞きたいのですけれども、今はそういう場でありませんので、少しはしょらせていただいて、あそこで先生方が目指しておられる「教師としての育ち」ということを考えた時に、どういうことを一番目指しておられるのかな?と。シラバスとしては書いてあるし、分かるのですけれども、例えば授業が上手くいくっていう経験させたいのか、あるいは思ったようにはいかないという経験をさせたいのか、それはどっちなのかなということを、見ながらすごく迷っていました。その辺り、先生方のコンセプトとしてはどんなものでしょうか。2年生の後期ですから、まだ教育自習に行く前ですので、計画としてもいわゆる絵に書いた餅っていうやつですね。その絵に描いた餅は食えると言いたいのか、食えないと言いたいのか、そのどっちなのかなと聞いた場合にどっちでしょうか。
川路: 私の考えとしてお答えすればいいですよね。まず、「絵に描いた餅」を描いてください、という気持ちがとても大きいです。人の書いた餅は良く見るのですけれども、自分で書いたことがないので、とりあえず描いてごらんというところですかね。食べられるか食べられないかは、それはまた別の形で検証するしかないかなと思っております。それが正直なところです。

先日、肥後先生に、授業公開が終わった後に国語の方は教材とカリキュラム的な教材研究をメインにしていて、算数の方は多動性のL.D.役の私がいましてですね、その子が授業をかき乱していて、そういう特別に支援が必要な子どもに対する学習者研究の内容が濃いのではないか、というようなコメントを頂いていたのですが、一応、算数はメインになられるのが富竹先生で、国語は間瀬先生で、その先生方がイメージされている模擬授業のところを大切にしたいなと。で、それをサポートするということに私なんかはエネルギーをかけてやっているところなのです。
もっというと、絵の描き方もいろいろだろうなと。国語の方でいえば、この前なんかすべての教材を学生全員が、1年生から6年生までの教材、同じものを持って音読していました。みんなで。教室で。

そうやって、お互いにすべての教材を理解した上で授業に参加するって言うのが国語のやり方。算数は、それぞれのグループがどんな風に教材を子どもと出合わせるかって言うことをそれぞれが考えて、ネタが出来るだけバレないようにしながら、色んな小道具を作ってきてやっていました。そのときに自分たちのグループが思い描いていたもの以外の意見が出てきたりするときに、どういう風に振舞えばいいかというのを、私なんかどちらかというと失敗させるようにわざと意地悪な子ども役として発問をしてみたりして学生を困らせました。それは正直言うと教育実習に行く前に模擬授業をしても、やはり誰か分かっていて、あえてそういう難しい質問をしてあげる人がいないと、模擬授業といっても、ただ単に上手くいって「こうやれば上手くいくな。子どもってきっと正解をこういう風に言うだろう。」って言うところで終わってしまうと、本番では全然違う意見が出てきて、頭の中が真っ白になったっていう学生がたくさんおりますので、逆に今回実際やってみて、あの場で頭が真っ白になってくれたらいいかな、というようなことが、私が算数ではやっていることです。富竹先生がどう思っていらっしゃるか分からないですけれども、私はそのつもりでやっております。
縄田: ありがとうございました。今のお答えに関しまして富竹先生の方から何か補足でご説明などありませんでしょうか。
富竹: 食えるか食えないかは結果論であって、結構意外と食える授業をやってくれたなぁというのが私の感想です。2年生にしては非常に準備を周到にして、いろんな教具も準備して、いい経験が出来たのじゃないかなと思っていますけど。結構どの授業も良く考えられた、2年生とは思えないようないい授業でした。結果としてはそういうような、食えた授業でした。
縄田: ありがとうございました。私も富竹先生の授業を見させていただいて、同じような感想を持ちました。そのほか質問いかがでしょうか。

私の方から一つよろしいでしょうか。各グループ、国語のグループと算数のグループと、3名ずつの先生が教室に張り付いて指導をされていたわけなのですが、主に中心となって前に立たれていたのはそれぞれお一人の先生方がやられていたと思うのですね。国語の方であれば間瀬先生ですし、算数であれば富竹先生が前に立たれて指導をされていたという形のスタイルを取られていた。残りの2人の先生が具体的に、この授業の企画立案をする段階で、どのような形で関わっておられたのか、具体的なT.T.の企画立案がどのように進められたか、ということについて参考になると思いますのでお聞きしたいと思います。
川路: 算数の方では先ほどもいいましたけど、各6つの学生のグループがそれぞれの表題を作っていますので、それぞれのところに3人の先生が回っていって個別に指導をしております。あるときには教員2人で5〜6人の学生囲んで、なんだかんだ言いながら「先生、やっぱりあそこは難しそうです。」とか「小数と小数の掛け算が難しそうなので何とかなりませんかね。」などと富竹先生に相談したりだとか、いろいろな教員間とのコミュニケーションをとりながらやらないと、ただ3人の先生が前に立って、学生が「この質問は誰にしたらいいですか」という形よりも、こちらの方から「あそこの学生が悩んでいるみたいですが私では分からないので富竹先生行ってあげてください。」とか「こういうことだったら、まぁ私でも大丈夫だな。」とか言ってぐるぐる回りながら、平野先生とやっていました。国語の方では、二人いらっしゃいますのでそちらに話をしてもらってください。
廣兼: 国語の方なのですけれども、国語は企画立案のところでは間瀬先生に中心になっていただきまして、私たち二人はどちらかというと模擬授業の時も、子どもとして学生と一緒に授業に参加するというようなスタンスでいました。その後、授業分析のときにA.T.として、コメンテーターとして発言するのですけれども、その前に例えば間瀬先生に「私はこういうような観点でとらえたのですけど、どうですかね。」というようなちょっとした打ち合わせのようなことを事前にしておいて、授業分析の時に感想を言うというようなことをしていました。
どちらかといえば、私の場合は授業を活性化させるためのコメントとして、揺さぶりの言葉をかけるとか、認める言葉をかけるとかというところで参加していたというような感じがします。 丸橋先生はどうですか。
丸橋: 私も基本的には廣兼先生と同じスタンスです。昨日の授業は、授業をやって検討会をして、それを改善して、こういう事を改善した、このところをもう一回授業でやってみますという授業だったのですが、第一回目で間瀬先生が所要で不在でした。ですから、私と廣兼先生で国語の授業を見るということで、若干不安もあったのですが、それまで一緒に授業を受けて打ち合わせをしたり、小学校の国語はこういうところに気をつけて授業をするのだなということを話し合ったりする中で、ほんとに少しですけど分かった所があったので、間瀬先生が居られないときでも担当をすることができたように思います。もう一つ心配したのは、国語の間瀬先生が居られないのに学生があまりちゃんとやらないのではないか、というようなことを思った事です。そんなこともなく、すごく一生懸命やってくれ、非常に熱のこもった反省会になりました。それは、教員間のコミュニケーションが事前に取れたことが非常に私たちとしては良かったのではないか、というふうに感じました。
縄田: ありがとうございました。そのほかよろしいでしょうか。
河添: 企画者なのに、一点だけすみません。私が一番お伺いしたかったことは、今のことで例えば教員間での協同ということは良く分かりましたし、それが拡大していって学部全体でどう繋がっていくかということも、おぼろげにイメージ出来たので非常に有益だと思ったのですが、事前に配っていただいた初等講座の授業公開についての考え方の中に、非常に興味深いと思ったのは、先生方が協同されてその成果を学生の成長としてとらえうる「尺度の開発を重視している」というふうに書かれていたことです。つまり最初に述べたように、検証し、評価していくことにこのT.T.のあり方が繋がってくるわけです。
今F.D.で求められているのはT.T.を単に「しました」ではなくて、それがどのように学生の資質向上に繋がるのかということだと思うのです。ただ、その資質向上を捉える尺度がないので、それを作るということを謳っておられることに興味があったのですが、どのようになさっているか教えていただきたいと思います。
川路: そこは今のところ難しい、というのが本音です。難しいというのは先ほどお話しました授業構想力・展開力・評価力の評価尺度というようなものを、今、初等講座で作っているところなのです。実際に学生さんが自分で模擬授業をやって初めてこの表をもう一回見て「あ、こういうことだ。」というのが分かるのではないかなと思っておりますが。しかし実際には、こういう表を学生に配っても、何か、表で字が書いてあるっていう程度しか思わない。学習内容の分析というのは、「指導要領を参考に各領域の学習内容と教育的なねらいを理解すること」と書いてあるけれども、これがいったい何なのかというのを、学生に表として配ってみても分からない。

確かに模擬授業をした後に「あぁ、やっぱり授業内容ってよく分かってないといけなかったな」と、「そういえば国語の指導要領の中で、ここはなんて書いてあるだろう」と意識して見たときに、初めて「あ、こういうことだ」というのを感じ取れる、そういうものを私たちは作ろうとしている。これは研究的にやっていこうという風に今考えています。とりあえず第1弾として、教育実習に行く前のところで、学生さんが身に付けておかなければいけない尺度というものを今作っておりまして、次に、教育実習中に学生が身に付けないといけない尺度を作る。とりあえず前段階まで作るのが結構大変で、今やっと出来たところなので、次はそれをまた研究会で作っていく。ですから授業運営と私たちの初等としての勉強会・学習会でやっていることをリンクさせていきながら、そういう尺度を作ってゆくという段階なのです。
秋重: 教えていただきたいのですけども、このT.T.方式の授業における最終的な評価というのは、どういう形でやられるのですか。優・良・可ってつけますよね。皆さんの評価の尺度みたいなのはある程度統一されてやられているのでしょうか?
川路: そこが今課題といえば課題です。確かにそれぞれの先生、30回ありますので、欠席する、介護等体験などで出席できないなどがあるのですが、先ほど富竹先生もおっしゃったように、でも学生は、思った以上にいい授業をしてくれます。準備もよくしています。チームワークも結構出来ています。ほんとにまた明日もありますからもしお時間がよろしければ見ていただきたいのですけれども、この間見た授業よりも格段によくなった授業をこの間も、昨日もしていました。
自分たちで問題があるって言うのが分かればそれが改善できるという力というのはとてもすばらしくて、その部分でいうと、私たちとしては算数の授業をやっているグループについては良い評価をあげたいなと思っています。まだ話し合ってはいないのですが、そういうような観点でいけば、評価をすることはそこまで難しくはないかなと。特に今グループでやっていますので、また今度個別になった時に学生の色々な姿が見えてくるとは思いますけれども、今のところはそんなに「この子は単位を出せそうにない」というような悩みよりも、「こんなにみんなに優をあげてもいいのかな」という悩みの方で悩みそうだなと思っているのですけれども。
肥後: 今おっしゃった話はF.D.戦略センターで推進して行く「プロファイルシート」にも反映されることだと思うのですが、それはそこまでいえば、優・良・可という体系の方がそれでいいのかっていう問題になるわけで、もちろんその体系で評価出来るような授業もあるのでしょうけども、はたして今取り組んでいるようなものは、むしろ今まで優・良・可という評価体系が本当にいいのかといった問題も同時に含んでいるわけですから、そこまで含めてお考えいただければいいのじゃないかなという風に思います。
川路: 絶対評価でやっていけるようにも考えねばなりませんね。  
 
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